相続対策というのは、とても専門的で難しそうで、何から手を付けて良いのか、どこに頼むのが良いのか判断基準が持ちにくいものですよね。
相続対策は初手が大事です。
それを見誤れば、数千万円の損も簡単に起きてしまうものです。
投資と違い、得られるはずのものを失うのではなく、現金にして支払わなくてはいけないものです。
株などの相続の時点でいくらの価値になっているのか不透明なものを元手にするのは危険行為です。
だからこそ、見通しの付く手段を取っていきたいものです。
けれど、知っておくだけで変えられる結果もあります。
まずは、見極めるポイントを知って身の周りを整えていきましょう。
今回は、専業主婦の方が五千万円もの相続税の軽減に至れた事例を挙げながら話しを進めたいと思います。
3つポイントをじっくり確認すれば数千万円の減税は可能!
以下の3つのポイントを外さなければ、専業主婦でも5,000万円程度の減税は可能です
項目をクリックしますと、その箇所までジャンプ出来ます。
順番に見ていきましょう。
接客担当者の人脈と人選基準を知っておく
減税には不動産や生命保険やファイナンシャルプランナー(FP)など人生に関わる分野の接客担当者との人脈が実は、非常に大切なんです。
でもやみくもに人脈を作るのもNG。
見極め方も大事です。
どういうことかというと、以下の事例でご説明します。
あなたにも出来る!はじめの一歩で5000万円の差が出た事例
【お客様の背景】
資産をお持ちなのは当時92歳のお婆様。
病院で過ごされており、不動産手続きをしようにも判断能力の有無を、職権のある有資格者との面会で診断してもらう必要がある状態でした。
相続対策のご依頼者は、お孫さん(長女)。
ご依頼者のお母様は既に施設に入られていました。
それゆえ、お婆様からは「お姉ちゃん(ご依頼者)がやってね。」と以前から頼まれていたそうです。
とは言いましても相続について勉強しているだとか、仕事などで相続における見識があったではありません。
お二人のお子さまがいらっしゃる専業主婦。
相談しようにも職場があるわけでもなく、何から手を付けていいのかさえも分からなかったそうです。
①接客担当者の人脈と人選基準を知っておくことの解説
今回のお客様は何も分からないので、ご自身が加入している生命保険の接客担当者に相談したことから始まります。
これは正しい行動だと思います。
こういう時に声を掛けることをお勧めしたいのは生命保険の接客担当者です。
少しお話しは逸れますが、生命保険選びで欠かせない最も大事なことの一つは、接客担当者がどんな人脈をお持ちであるか?です。
生命保険会社で用意している専門家もいることでしょう。
しかし、その専門家が必ずしもお客様のことを第一に考えて回答を出してくれる保証はありません。
接客担当者が様々な出会いの中で、会社で用意されている専門家よりも信用に足る仕事の質の高さを認められる人がいるというのは、本当に頼もしいと思います。
昔から『優秀な生命保険の担当者こそ、万屋(よろずや)である』という認識があるぐらいです。
生命保険のプランは同じ会社内であれば、あなたという軸があるのですからプラン内容が大きく変わることは、まず、無いでしょう。
生命保険業に限らずではありますが、だからこそ、専門分野以外での対応力の幅の広さは同じ料金を支払っていても、人生において恩恵を受ける機会の多さが変わってくると思います。
同じモノを買うにしても、誰から買うか?
AIなどのテクノロジーが進むからこそ、大事にしていきたいですね。
話しを本筋に戻しましょう。
当初、私に相談されたのは不動産の売却が変なことにならないように見てほしいという内容でした。
お話しを伺い、配慮したほうが宜しいと思われる不動産以外の分野におけるアドバイスもしていました。
そうしたところ、お客様から「税や権利関係の手続きについて相続案件に強い専門家選びも一任したい」と仰ってくださいました。
結果、相続対策のチーム編成から各専門家の連携まで行なうチーム統括までお任せ頂けました。
誰が、仕事の質を高めるために、どういった日々を過ごしているか。
人生に関係するお仕事をされている方の目利きを、どうか大事にしてください。
②契約は解除を希望した場合をよく確かめる
あらゆる分野において契約というものはメリット、デメリットだけを確認して契約するか否かを判断される方が多くいらっしゃるものです。
専門家の専門性を確認する時に大事なのは、契約解除の際のことを詳細に答えられること。
今回で言えば不動産管理会社とのサブリース契約。
その解除金の計算式と解除までの必要期間。
不動産の相続対策で肝心なものは、契約の解除となった場合のスピード感と具体的な処理方法だからです。
それをメモに残しても平然としていられることです。
つまり、言葉に責任を持てているかが分かるということです。
相続対策の足枷(あしかせ)となるサブリース契約に触れながらお話しします。
不動産においては特に、人任せはご自身の状況に合わせた舵取りが出来なくなるものです。
その一つのお話しです。
安易な賃貸運営で用いられる『サブリース契約』。
近年、大きな不祥事として大手不動産会社が世間を賑わせています。
当時NHKが特集を組み、大手不動産会社がある街一体の数々の地主に対して不誠実な建築計画を持ち掛けた番組を放送しました。
その中のお一人でもいらっしゃいました。
お客様は4棟のアパート経営をしていました。
しかし、大手不動産会社による建築とアパート運営を任せることとなるサブリース契約がなされていることがわかりました。
運営を任せているのに利益が出ていないので、資産の組み換えが第一優先でした。
不動産における資産の組み換え:利益を生んでいない物件(キャッシュフローが回っていない、キャッシュフローが成り立っていないなどの表現を用いられることが多いです。)を買主に利益が生まれる形で売って、その資金でキャッシュフローが見込める物件を購入すること。
サブリース契約先の不動産会社というのは対応が悪いものです。
例え、オーナーに利益を生み出す運営になっていなくても、です。
オーナーには利益がなくても、管理会社には毎月賃料の15%分の利益が入ってくる仕組みだからです。
今回の売却戦略の為に管理会社に物件資料の取り寄せ要請をしても対応が遅いものでした。
時にはお願いした資料の提供にも応じようとしなかったこともありました。
サブリース契約の解除要綱に従ったお願いをしても応じようとせず、契約解除に半年も掛かりました。
解除要綱が複雑であったかと言えば簡単なものでした。
解除要綱に従い、解除金を所有者が支払えば応じると定めてありました。
それでも100万円単位の即金を求めるもの。
地主と言いましても企業ではありません。
あくまで、消費者です。
100万円単位の即金を求めることが何を示すのかの想像は、どの方にも難しくないと思います。
ただ厄介だったのは、契約書の条文(約束事)の書き方が弁護士に見解を求めても、ややこしい言い回しをしていた点も作為的構成を感じるものでした。
ゆえに、こちらの事情や都合に合わせたペースでの折衝が思うようには進みませんでした。
先程の100万円単位の即金を求める契約書条項の意図するところは、契約解除を断念してもらう可能性を残しているということです。
契約解除の対応の引き延ばしも、この意図に沿っていることは明らか。
この章の冒頭にも挙げました『言葉(契約)への責任』があるならば、この対応は有り得なかったということです。
危うく数千万円の相続税の課税をされてしまうところでした。
契約の担当者が組織を代表する者かサラリーマンかでは、対応は歴然と変わるものです。
判断権限の差はトラブルや不測の事態にこそ表われるからです。
サラリーマンにとっては、自身の社内での立場や居心地を悪くしてまで契約先の方にどれだけの迷惑を掛けてしまうかなどの事情を、上層部に訴えかけるわけはありません。
もしも、このご相談が既に相続が発生した後であれば、完全にお客様「一族」が路頭に迷うことになったことは火を見るよりも明らかであるにも関わらず、です。
理解してもらえていたら、管理会社が定めた規定の即契約解除の方法で半年も時間を掛ける対応をするはずがないということです。
円滑に次のステップに進めるように状況を整えておくためにも、開始(契約)の際に手を打っておきましょう。
③取引相手からの見られ方も知っておく
相続対策を行なうということは、大きなお金の出費が掛かっています。
ですから、つい、納税の為の資金繰りでご自身の都合や希望を取引の相手方に強く求めてしまうことがあります。
相談を持ち掛ける専門家に対しては、基本的にそれで宜しいかと思います。
ただし、不動産取引は買主様がいてこそ成り立つものです。
その方の利益、安全性もまた確保した計画でなくては取引が成立しません。
その目線で仕事に携わる大切さが、ご相談者のお金だけではない利益ももたらします。
今回のご相談は、反面教師と尊い対応の両方が起こった忘れられないお仕事でもありました。
資産を組み替えるための不動産売却にあたり、管理会社が出してきた条件がありました。
その一つが司法書士の指定です。
当初は、管理会社が指定した司法書士は物件所有者であるお婆様の判断能力の有無の面談業務を二言返事で承諾していました。
ところが、建築費の借入先である銀行からはお婆様の判断能力確認の面談に、銀行の担当者も立ち会うことが条件になった途端、司法書士は面談業務を断ってきました。
多くいるものです。
不動産会社と物件所有者の親族だけの同席ならば了解する司法書士。
関係者は、どの人も物件を売りたいので所有者の判断能力が基準値に達していなくても、判断能力有りと承認を出せば有り難がってくれるからです。
けれど今回は、判断能力が無いのに物件を売ってしまえば責任を問われる銀行が同席。
司法書士が下手に承認を出せば、銀行から指摘を受けてしまい、最悪の場合、司法書士の資格はく奪や営業停止の処分も有り得ます。
基本的な仕事のスタンスは、こういった事態に顕著に表れるものですね。
結果としては、脳を活性化させ意識をしっかりと保てる可能性のある処置を家族の皆さんが行なったことで、銀行担当者による面談でありながら承認を得るに至りました。
これには、ご依頼者もお婆様も歓喜!
もしも判断能力が無いとなっていた場合は、後見人制度を適用させることになっていました。
その影響は相続税が五千万円も加算されることになるところだったのですから。
売り出す前からこれだけ苦労した物件です。
買主様探しも苦労したことを覚えています。
売却物件は築30年以上経過の木造アパート。
融資の返済期間と建物の構造は直接的な関係があります。
物件の構造によって耐用年数が決まっていて、『耐用年数-経過年数』の残存期間が不動産融資の返済期間になります。
返済期間が長いほど月々の返済額は安くなるので、キャッシュフローが見込めます。
木造の耐用年数は22年。
つまり、現金で購入を検討してくださる方にしか見向きもされないということです。
相続対策は、所有者の方がご存命の間に手続きをすべて完了しておかなくては損をしてしまうものです。
そして、人の命の限りは分からないもの。
悠長に構えていては、ご迷惑しか掛けません。
買主様探しでは、本当に人脈に救われたとしか言い様がありません。
『大家さんを守る会』の会長と直接の知り合いだったことで救われました。
700人以上の地主さん、不動産オーナーさんへ不動産経営の理解度向上を促す活動をされている方です。
その会長が事情をご理解くださり、物件価格の妥当性(収益の見込み具合の適正度)もご理解くださいました。
そして驚くことに、現金での購入は難しいからと言い、自らの自宅を担保に入れて金融機関から融資を起こし購入してくれたのです。
ご依頼者である売主様のメリットだけを考え買主様に損をさせるような「高く売ります!」と言うのは口が裂けても私は言いません。
高く売ることだけを優先された物件の買主の顛末は、私の人生を大きく変えてしまったのですから・・・
簡単に「自宅を担保に」とは言いましたが、金融機関の融資承認には3ヶ月も時間を要しました。
更にサブリース契約先である管理会社の契約解除承認に半年も掛かってしまったので、融資承認が下りてからも買主様には3ケ月間、何度も決済日を延長してもらうことにもなりました。
こんなお願いは一般の買主様ならば、とっくに契約破棄を言われても可笑しくないものです。
その他の所有地の売却においても、惜しみないご協力をしてくださいました。
不動産の下取り業者(買取業者)が購入検討もしてくれない立地の物件に対しても、「ちょうどアパートを建てて所有したかったんだよ。」と購入してくれたことも忘れられません。
様々な出来事やご協力の元、無事に相続対策も終えることができたこともあり、ご自宅でのお食事に何度も招いてくださいました。
お陰様でお子様ともたくさん話しをしていたこともあり、今でも毎年の年賀状には兄弟それぞれから一筆のメッセージが添えられていて、それもまた愉しみになっています。
いかがでしょうか?
相続対策の第一歩、見極める3つのポイント。
- 接客担当者の人脈と人選基準を知っておく
- 契約は解除を希望した場合をよく確かめる
- 取引相手からの見られ方も知っておく
総じて大事なことは、自分ごととして捉えて人任せにしないこと。
自分の意思を伝え、相手の考え方や重きを置いているものは何かを知っていく。
こういったコミュニケーションが取れる関係性が築ける専門家であるかどうかを見ていくことをお勧めいたします。