聞き分ける

投資用新築ワンルームマンション 4つの聞き分けポイント

投資用不動産の勧誘電話の後編です。

前編は、こちら『投資用新築ワンルームマンションの勧誘電話。ルールや規制、撃退方法とは?』

 

あなたは、投資用不動産の勧誘を電話とは限らず、対面でも営業を受けたことはありますか?

投資用不動産と一口に言っても、新築と中古で大きくその主旨、目的、効果、利益は違います。

 

今回は、投資用新築ワンルームマンション営業のチェック項目と解説です。

それをもって、せめてどんなことには気を付けながら物件を選べば良いのかのヒントにしてください。

 

≪ 目 次 ≫

4つの聞き分けポイント

キャッシュフローは?

節税の実態

不動産価値の担保

空室リスクと収支計画書

抜け出せなくなると…

 

4つの聞き分けポイント

●✖

不動産投資で最低限、理解とチェックをしなければならないことは、以下の4つです。

基本中の基本です。

 

不動産経営が一般の方が最初から最後まで、ひとりで行なうのは危険だと言われる要素。

 

1.キャッシュフローは?

2.節税の実態

3.不動産価値の担保

4.空室リスクと収支計画書

 

ひとつずつ見ていきましょう。

 

キャッシュフローは?

キャッシュフロー

日曜日の夕方、事務所の電話に掛かってきた名古屋の市外局番。

 

出てみると…

不動産会社(以下、不)「私ども投資用不動産会社でして。」

「今回、ラッキーな掘り出し物件が出ましたよ!浅草で2,600万円の新築マンションのワンルームです。買い時ですよぉ。」

「…。私、(不動産の)プロだから買わないよ?」

 

「いやいやいやいやいや・・・、これはですね、プロとか関係ないですよ。」

「利回り3%あって、団信も使えますから!」

「儲かりますから、お得ですよ。」

 

前編でもお話しした通り、儲かることを断定的に言うのは消費者契約法に抵触します。

この時点で、まともな会社ではないと判断できます。

前編の復習です。

 

「利回り3%?借入したらさぁ…ローン組んで、管理費と修繕積立金を払って、キャッシュフロー回らないでしょ?浅草で2,600万円て、高いよ。」

 

【解説】

キャッシュフローとは、実際に得られた収入から、外部への支出を差し引いて手元に残る資金の流れのこと。

年間の純利益額が、どれくらいあるのかチェックです。

 

物件価格  2,600万円

住宅ローン 0.525%

借入期間   35年

年間返済額 81.3万円

年間賃料  78.0万円

これだけで年間で手元に残る利益は、3.3万円。

 

ここから、少なくとも管理費と修繕積立金を引いていくわけです。

管理費や修繕積立金が幾らなのかは、不明ですね。

では、3.3万円を12ヶ月で割ると、1ヶ月あたり2,750円以上掛かれば赤字が確定です。

 

・・・無理ですね。

何かあった時の不具合や故障、メンテナンス工事費用は、どうやって用意をするのか。

ましてや、修繕積立金は10年周期や15年周期で段階的に値上げすることは、すべての分譲マンションで新築時から決定しています。

それが『長期修繕計画書』です。

 

さすがに、この説明を電話でしたわけではなく、先方からの回答はどのようなものになるのかと待ってみました。

すると…

 

「え~っと・・・ちょっと待ってくださいね。」

もう、しどろもどろ。

 

新人だったみたいです。

上司と電話交代。

 

節税の実態

Stock price declining

Stock price declining

「すみません。下の者が分かっていなかったみたいで。」

「新築マンションですから固定資産税は3年間の軽減税率があってですね…」

「だから、キャッシュフロー回らないでしょ?」

 

「不動産投資っていうのは、そういう目的で買うんじゃないんですよ!」

「保有しておいて売却する手もあるんです。今回の物件は損も出ないし、節税にもなりますから。」

 

「節税って言ってる意味わかる?節税って赤字だって言ってるってことだよ?(笑)」

 

【解説】

節税が意味する基本から解説していきましょう。

税は、年収によって税率が上がっていきます。税率で区分けされた範囲を『テーブル』という表現をします。

年収を、不動産投資などによる赤字を積み重ね、テーブルの段階を1つでも2つでも下げることで税の還付を受けましょう、というのが節税です。

 

年収に赤字という悪影響が出ないと節税はできません。

だから、キャッシュフローが回らないと言っている、と私は言ったのです。

 

ちょっと計算してみましょう。

例えば、年収1,000万円の方の場合

税率33% 控除額1,536,000円

1,000万円×33%-1,536,000円=1,764,000円

 

しかし、確定申告で不動産による赤字で年収850万円になったとします。

税率23% 控除額636,000円

850万円×23%-636,000円=1,319,000円

 

1,764,000円-1,319,000円=税還付 445,000円

月平均にならせば、1ヶ月あたり37,083円の還付

 

ローンが完済すれば、私的年金として毎月賃料がほとんど入ってくる。

これが、不動産業者は言いたいわけです。

 

でもこれには、気を付けなければならないことがあります。

それは、収支計画書の章で解説します。

 

もっと気を付けなければならないのは、900万円以下の年収の場合です。

 

年収500万円の人が毎月3万円 年間36万円の赤字を計上しても、税率のテーブルは変わらず20%です。

500万円×20%-427,500円=572,500円

464万円×20%-427,500円=500,500円

572,500円-500,500円=税還付 72,000円

 

税のテーブルが変わらないというのは、こういうことです。

毎月の出費の2ヶ月ちょっとしか税還付は受けられません。

税率のテーブルを変えるために、幾つもワンルームマンションを買わされるケースもあります。

 

団体信用生命保険があるのだから、保険料と比べれば破格の出費で私的年金、もしくは、万が一の時には家族に資産を残せる、と甘い言葉を投げ掛けてきます。

 資産形成の基本にも立てていない理論に耳を傾けてはいけません。

 

不動産価値の担保

10601355 - value

10601355 – value

「売却だって将来、幾らになるかなんてわからないでしょ?」

「そんなことないです。浅草の一等地ですから値下がりしないんですよ!」

 

「何、言ってるの?車もそうだし不動産も同じで、新品というのは買った瞬間に価値が下がるんだよ。欧米とかと違って、日本では中古の価値っていうのは3割下がるんだよ。」

 

「あなた、それでもプロですか!?」

「そもそも投資と言うのは、買ったものの価値なんですよ。保てるかなんですよ。」

 

「さっきも言ったけど、平均3割の価値が落ちるもので…仮に値下がりが2割だとしても不動産投資は普通、築10年落ちがコスパも良いっていう統計があるんだよ。知ってる?」

「利回り、キャピタルゲインにしてもおかしいよ?」

「どっちも大丈夫です!!損が出ないので。」

 

【解説】

大きな買い物であればあるほど、新品価格というものは大きな金額になるものです。

この差額こそ、完済前に売却する時にローンの残債と売値の差額と思うぐらいで、ちょうど良いと思います。

 

頭金なし、諸費用要らずなどの手を出しやすい謳い文句はありますが、そのツケは売却の際に、預貯金から差額を支払わなければならないという形で返ってきます。

ここを知らずに買わされてしまう方々が多いのは、忍びない話しです。

 

完済後の賃料収入が目的なのだから、途中で売ることになんかならないと思い込んでしまっているからです。

 

キャピタルゲインとは、買った時より売った時の価格が上回った際の差益のことです。

これについては、誰にも未来の価格は決められないという当たり前の話しです。

 

一等地だから値が下がらない?

千代田区、中央区、港区でも一等地はすべて、地価が変わってないとでも?

成人している方なら誰でも分かる答えでしょう。

 

こういうことを平気で口にしているということです。

投資といって、上がるか下がるかに賭けた時点でギャンブルです

それは投資ではなく投機です。

 

機会、タイミングにお金を張る話し。

論外です。

 

空室リスクと収支計画書

空室

「じゃあさ、空室リスクについては?3ヶ月は空くことを想定しなきゃいけないよね?」

「それも大丈夫です。間なんて空きません。絶対に有り得ませんから!」

「それこそ、無理でしょ。部屋を見ないで決める人なんて、そうそういないんだから。」

「そんなことはないんですよ。これまでも他の物件では決めていますから!」

 

【解説】

賃貸募集の業務経験が無い人間は、必ずこの言い方をします。

先方の言い分が現実には不可能である理由があります。

 

まず、このお話しはサブリース契約が無い前提です。

サブリース契約とは、不動産会社などが借主となり賃貸借契約を結び、借主が一般の方に向けて入居募集を行うので、例え空室でも賃料は契約書通り入ってくるというものです。

 

このサブリース契約、不動産会社や管理会社(借主となる法人)によってはサービス適用から3ヶ月は賃料が所有者に入ってこない契約内容のものもありますから、気を付けて頂きたいです。

 

この契約が無ければ、当然に退去から次の入居までは賃料が入ってきません。

更新を機に退去していくことは新築時の入居者でも珍しくありません。

 

収支計画は、自分に都合の良い甘い考えで立ててはいけないもの。

入居募集開始から実際に賃貸借契約を締結して賃料発生に至るまで、2ヶ月は空くものとして計画をするぐらいが現実的です。

 

空室になった次の日に入居ができると思いますか?

いつ部屋を見るのか?

見ないで決まるのは、築何年後の物件まででしょうね?

入居していた期間が長いほど修繕箇所はあって当たり前。

修繕箇所が無くてもクリーニング作業は必須。

 

並べ立てれば、空室期間が1日も無い収支計画を完済までの35年間続くと思うことは、賢い計画でしょうか?

 

私には、到底お客様に提案できる内容ではないですよ。

どれだけの信用を失う話しでしょう。

想像するだけで、ゾッとします。

 

収支計画といえば、完済後の私的年金になるという目的の方にお伝えしたい経費項目があります。

 

それはリフォーム費用です。

修繕費用ではありません。

35年間、設備機器などを交換しない計画をされていませんか?

長くても15年に一度、フルリフォームは必要になると思ってください。

 

そのお金、どこから捻出する予定ですか?

キャッシュフローを見るというのは、経費のすべてを物件収益でまかなえるか?

 

毎月がマイナス収支なうえに、フルリフォームを完済までに最低でも2回する経費が掛かることは見越した収支計画書なのかというのは、とても大事だと思います。

 

最後に、35年後の賃料って幾らでしょうね?

築35年の入居募集って、簡単だと思いますか?

 

これまでのことを考えると、お話しになりませんね。

これ以上、電話に付き合ってもまた「あなた、プロですか?」呼ばわりをされるだけ。

 

「あなたじゃ話しにならないから、社長だして。」

さすがに、相手はビクッとしてましたね。

目に見えるように伝わってきました。

 

「分かりました。もう掛けませ~ん!」ガチャッ…

 

抜け出せなくなると…

抜け出せない

節税という言葉は、好きな方、弱い方はたくさんいます。

こんな事例があります。

 

仕事は医者。

10年間、投資用新築ワンルームマンションを購入し続けて、6物件を所有。

すべての物件が毎月マイナス収支で、修繕などの経費もかさみ、ついに生活におけるキャッシュフローが回らなくなってきたという相談。

 

手立ては2つ。

破産手続きか任意売却

任意売却ならば、売っても半分残ってしまう残債については金融機関と返済交渉をして返し続けることになります。

 

それでも、今の毎月の出費と比べれば。

「今なら、この程度で済みますよ?」

 

最後の決断は相談者にあります。

他に手立ても、活路も無い中で相談者が下した決断は…

 

「不動産価値が上がるかもしれないから、様子を見ようと思います。」

 

地価公示が上がる要素もない。

上がっても、土地の取り引きではないので価格に大きく影響することも無いんです。

 

究極の痛みにならないと決めないのかも知れないですね。

 

他にも、50代の公務員の一般男性。

京都の好立地だから儲かると言われ物件を買ったものの、その物件の維持に給与を注ぎ込んでしまい、困ってしまっていると。

 

冷静になってください。

どんなに一等地に建っていても、建物の価値は年々落ちていきます。

先にも言った通り、修繕積立金は段階的に上がっていきます。

けれど、毎月の返済額は一定なんです。

 

想像できましたか?

 

今は不景気ですからローンは、最低利率。

利息はいつか上がるでしょう。

 

こうして、不動産の価値と不動産の借金の開きは埋まらない現実が生まれます。

 

「繰り上げ返済があるじゃないか?」ですか?

最低金利のお金に対して、それを行なうのは、ちょっと…

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

投資用新築ワンルームマンションの営業トークと知っておきたい聞き分けポイントは。

 

1.キャッシュフローは?

2.節税の実態

3.不動産価値の担保

4.空室リスクと収支計画書

 

相続対策で投資用不動産による節税と、投資用新築ワンルームの節税は意味も目的は全く違います。

投資用不動産としての違いは、また別のお話しで触れることにしましょう。

 

今回、お伝えしたいことである『不動産経営は本やネットにあるテキストだけでは現実に決して追いつけない』、ここはお分かり頂けましたでしょうか。

 

実務経験のない方が、株やFXのように数字や傾向だけで運営するにはリスクが高過ぎる由縁です。

 

不動産経営には時に、人に仕事をお願いする必要も出てくることもあるでしょう。

その為にも、キャッシュフローが何よりも大事です。

 

先立つものが物件から得られていないのならば、不動産という本来 資産であるはずの存在が足枷(あしかせ)になり、普段の就労収入に手を出さなければ回らなくなるという事態になります。

資産本来の『お金を殖やす、稼ぐため』という目的に沿ってお金のチェックをしてください。

 

楽しくも胸を張れる不動産経営者になってほしいと思っています。

 

不動産オーナーのおかげで、街に人が集まり、残り、はじめて街は活気と発展に至れます。

不動産は、確実にどなたかの人生を支える場所の提供という素晴らしい活動から、糧となるお金を頂戴している事業です。