前回『4つの大事な在り方。常に問われる態度』では、日々の中で見られていること、自分に意識していることをお話ししました。
今回は、ビジネスシーンで出てしまう態度と意識の話しです。
仕事は、入り口(受注前や契約時)で見える差というのは、自身が素晴らしいのではなく競合が至っていなかっただけと捉えるぐらい謙虚さを失いたくないものですね。
テクニックによる見せ方はありますが、人間としての中身が伴ってなければ今回お話しするような場面では、反動となって先方の落胆は留まるところ知らず…となり兼ねません。
テクニックは常に諸刃の剣で、自分を貶(おとし)めることになるのでオススメしません。
真に大事なのは胆の据え方
「さぁ、どうする?」
そんな風に、まるで試されているかのような場面というのは自分の失敗ではなく、周りの失敗が自分の仕事にダイレクトに悪影響を及ぼした時だと、私は思っています。
結論は、この3つだと思っています。
原因の者への注意
被害先への謝罪
問題解決への姿勢
自身が原因のことならば、改善点も分かりやすく、癖や傾向も見えやすいので防ぎやすいものです。
これが自分以外の人が原因となると「は?なんで!?」
想像も予測もできないことが原因で起こるから防ぎようが無い場合が多いもの。
経験を積めば積むほど、予測不能な事態が起きますね。
「今回は、そこ!?」と驚かされるばかりです。
思い出深い(?)事例があります。
≪ 目次 ≫
・一難去ってまた一難
・注意と謝罪
・問題解決への姿勢
一難去ってまた一難
タワーマンションの売却依頼での出来事でした。
売値が8,000万円の物件。
物件が上がるにつれ、購入可能なお客様層は少なくなっていくものですから物件の扱いも、お客様の扱いも細心の注意を払いたいものです。
そんな販売活動中に、2回も私が紹介した業者にミスがあり、売主様に心配と迷惑を掛ける出来事が起きてしまいました。
【1つ目のトラブル】
売主様が転居後での販売。
売り物件に残された新居に不要な残置物の処理業者をご依頼の元、手配。
しかし、預けた鍵を業者が紛失…
売主様に、私からすぐさま謝罪の電話。
顔を出す形での謝罪も当然に必要です。
売主様の都合を確認し、トラブルを起こした業者には朝8時に菓子折りをもって謝罪へ。
こちらとしては、誠意の見せ方について事前に打ち合わせ。
残置物処理代金20万円を10万円に。
売主様も納得してくれました。
最初の謝罪は私が行ない、翌日の謝罪の機会の都合確認も、事前打ち合わせも行ないましたが、ミスに対して業者を叱ることはしませんでした。
【2つ目のトラブル】
売り出し物件です。残置物処理の後は清掃が必要です。
ここで清掃会社がトラブルを起こしました。
清掃会社が管理会社に作業の事前通知をせず作業を始めたうえに、18時以降も作業を続けてしまい近隣住戸からクレームが入ってしまったのです。
基本業務の失念でしたから、清掃費用を無料にすることで場を収めました。
これもまた、私から業者を叱ることはありませんでした。
注意と謝罪
「おいおい、自分が手配した業者とはいえ、また問題を起こさないようにしないの?」
「それでは手配した責任を果たしているのか?」
そう思わる方も確かにいるでしょうね。
私の考えは、こうです。
『ミスした時こそ、人は見ているものではないか?』と。
私が業者を叱っていたら、もしくは売主様に「きちんと叱っておきましたから!」
そんな風に報告したとしましょう。
まるで自分には非が無い。
責任をすべて業者に擦りつけているように見えるかも知れません。
自分ごとのつもりで対処しようとしてみましょう。
すると、この2つの事態はどのように捉えられるでしょう?
鍵の紛失
自分が紹介した業者のミスは、業者選定をした私の進捗管理不足の責任がある。
清掃作業
ルールの徹底を守ってもらうだけの関係性を築いていない責任がある。
どちらも落とし前として価格を差し引いて誠意を形にする落としどころを見せる。
謝罪し落とし前を形にしても、売却依頼(仕事)をそこで断られたら、それも仕方ないとして受け止めます。
不動産会社として仲介業務をする一端としてお客様の窓口担当をしているわけです。
ですから、当事者感覚で捉えると、上記のようにはなりませんか?
逃げる事より受け止める姿勢を見せること。
その場面で注意をするか否か、謝罪を形にまで整えるか否か。
『ピンチはチャンス』という言葉がありますね。
ビジネスにおいては、「その先の得に繋げるように。」と教える職場や本もあるでしょう。
けれど、私はピンチはビジネスチャンスではないと思っています。
自身に責任の一端があるのに「これを機にお金に繋げろ。」というのは品が無い、反省が無いと捉えられても仕方ないでしょう。
そうではなく、自身の在り方を問われているという成長のチャンス、気持ちがどこにあるのかをきちんと表し伝えるチャンスの方が、人として価値があるように思います。
素直に謝れるか?誤魔化し逃げるか?
切り替えられるか否か。
問われているのは本当の心根、自分自身の本当の在り方です。
問題解決への姿勢
トラブルにおける在り方は、注意と謝罪です。
問題解決への姿勢は、実はトラブルが起きた後の話しではありません。
案件を聞いた時の判断の話しです。
始まりにおける在り方の話し。
あなたが営業マンの立場として、お客様へのヒアリングや接客姿勢の目的は、どこに置きますか?
受注や契約のチャンス探しですか?
利益を上げることを考えながらお客様の困りごとを聞いているようではダメです。
『お客様の困りごとへの問題解決策』を探しながら聞くことです。
策は、何よりも先に人選です。
極論では無くヒアリングの基本姿勢として、自身の売上や利益にならなくてもお客様の抱えている問題解決にフォーカスしているか?
自身が仕事に組み込まれなくても良いという考えを持てているか、です。
私は、平気で他社の推薦もします。
私自身が出来る・出来ないよりも、誰が得意だから円滑に、かつ仕事の中身を濃く提供できるかを最優先します。
他社の紹介も辞さない考えの中、チーム編成に自身もそこに組み入ることを選んだ覚悟、これを持つようにしてみると、トラブルの時の対処は自ずと自分ごととして受け止められるようになります。
この覚悟の姿勢から考えれば、先の2つ≪注意と謝罪≫の対応に納得感は持てると思うのですが、いかがでしょうか?
つまり、チームと一蓮托生の想いでお客様の窓口を引き受けている、というだけのこと。
これまでが、大袈裟に話してしまったかも知れませんね。
この在り方でいようとするから、当然の態度をもって、当然の対応で向き合っているに過ぎません。
お客様の困りごとの問題解決を第一優先とする在り方、出来ていますか?
まとめ
仕事で問われる人間性の3つの場面、いかがでしたか?
・原因の者への注意
・被害先への謝罪
・問題解決への姿勢
トラブルを、いかに自分ごとに出来るか?
それを態度と対応で示せるか?
それが在り方だと私は思っています。
在り方って、穏やかな場面での自分を想像する方が多いとは思いますが、不思議なもので自身に都合の良い場面では得てして見られないもの、目に付かないものなんですよね。
非日常の場面だからこそ、他の人との違いが良くも悪くも在り方がそのまま出てしまうのです。
在り方は、人に求めるより自分自身に求めていくことをオススメします。
そうすると、自ずと信用の置ける専門家の見分け方や、素晴らしい人が集まってくるようになったように思っています。
前回の記事の日常と、今回の非日常の在り方から、あなたなりの人選のヒントになれば幸いです。