1.法定相続分というリスク

「相続って、お金持ちだけの問題よね。」と思っている方、いますよね!
実はそうでもないんですよ!というか、むしろ、関係大ありです!
法定相続分ってご存知ですか?
民法で、相続が発生した場合の分け方が決まっているんですね。
簡単に説明すると、旦那さんが亡くなった場合、奥さんが1/2、お子さん達全員で1/2
と決まっています。
たとえ、相続財産が100万円でも民法では、その分け方が決まっているんです。
私のクライアントでも、この「法定相続分」によって、自分の財産を手放さざるを得なく
なった方がいます。
練馬のマンションを旦那さんの遺言により、奥様が相続しました。血のつながらないお子さん
2人がいたのですが、※(1)遺留分減殺請求をされたんですね。
マンションの評価額は2400万円で相続税は掛かってこないのですが、
遺言により、財産の半分は確保されるため、1200万円のうち、1/2つまり600万円をお子さん達に
支払わなければならない状況でした。
しかも期限が後、1か月と迫っている時に、ご相談を受けました。
手持ちの現金があるかどうかをこの奥様に確認しましたが、ないとのこと。
泣く泣く、今住んでいる不動産を売却せざるを得ないのですが、1か月という期日では、
プロの買い取り屋さんに任せるしかありません。
私の見立てでは、普通にエンドユーザー向けに2500万円ぐらいで売れるであろうと思いましたが、プロの買取屋さんでは、当然、安くなります。2000万円で取引されましたが、
これでもかなり高く買ってくれたと思います。
このようにいつ何時、相続によって財産を手放さなければいけないという
リスクは誰にでもあるのです。

※(1)本来、被相続人(財産を残し亡くなった人)が、生前所有していた財産については、遺言によって自由に処分することができますが、もし仮に、被相続人が遺言によって『全ての財産を愛人に譲
る』と書き残した場合はどうでしょう。

残された家族が経済的に自立している場合には、それほど問題ないケースもありますが、被相続人
の財産に依存していた子供や配偶者にとっては、生活に困り路頭に迷ってしまうことが予想されま
す。

そこで、後に残された者の生活保障や、被相続人の財産維持・増加に貢献した者への潜在的持分を
顕在化させる等の必要上、相続人には必ず受取ることのできる最低限度の相続財産を得る権利が法
律によって与えられています。

この権利が〝遺留分減殺請求〟です。