【おとり広告が作り出す危険な副産物!不動産業界の実態と人の想い】

今回は、珍しく賃貸のお部屋探しでのお話しです。

 

通常、賃貸のご依頼はお断りしています。

幾度となくお仕事をご一緒している取り引き先からのお願いだったので請けたお話しですので、その点は予めご容赦ください。

 

皆さんは、物件情報は会社ごとに大きく違うのではないか?

そう思っているかと思います。

 

実際、大差はありません。

ですから、不動産会社を変えても結局、同じ待遇が待っているだけです。

 

不動産業界の実情を知る人からの紹介の場合、物件を探す本人が周囲の心配や配慮を無下にしたことで、人間関係を悪くすることにも繋がってしまうことがあります。

 

周りから配慮してもらえるぐらい応援や愛情を注がれている人ほど起こり易いかと思います。

情報収集をする際に、業界実態も加味すると宜しいかと思いますので、今回のお話しを参考にしてみてください。

 

今回は、日本屈指の有名なアイドルグループの方のお部屋探しでの事例を挙げながら、話しを進めたいと思います。

 

≪目次≫

①接するだけで価値がある

②ご紹介者が見ているものは、案件のその先

③ネット社会になった代償から回避

④『釣り物件』と『おとり広告』

⑤引っ越し時期と戦略

⑥住まいは、見なければ気付けないものがある

⑦紹介案件に共通すること

⑧大事に思われれば、最後は同じ

⑨今回、本当に伝えたいこと

 

接するだけで価値がある

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よくお仕事をご一緒している税理士さんからのお願いでご紹介を受けたことがきっかけでした。

 

普段、賃貸のお部屋探しは請けません。

しかし、最近でも事件が起きたように、アイドルの住まいは周りに知られると大変なことが起きてしまいます。

信用している人にしか頼めないこと。

 

私も、ご紹介者の人間性は仕事を通して分かっていますから、信用してくださった想いに応えたいと素直に思えました。

 

 

聞けば、お部屋を探すご本人は中学生の頃から芸能活動をしているので、なにぶん世間知らずなところもあるので心配でもある、と。

 

私と接すれば色んな話しにも触れることができ、少しでも世間を知ることも出来ると思っているとも、言葉を添えてくださいました。

本当に嬉しく思いました。

 

確かに、一緒にいれば会話の中で業界のことや色んな仕事の仕組み、雑学的な話しは出ます。

そこからの読み解き方や考えていることなども、何気に口に出るものです。

 

それを、『学びになる場』と評してくださる視点にも、ご紹介者からご本人への愛情を感じますよね。

 

ご紹介者が見ているものは、案件のその先

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ご紹介者は、この案件で見越しているものも正直に教えてくださいました。

 

ご本人が、ゆくゆくは独立して活躍できるようになりたいと思っていること。

 

その為には、私の人脈、その質の高さが後々、必要になると思っていること。

見知った仲であれば、タイミングが来た時にお願いし易いこと。

 

私との顔合わせも兼ねたお仕事依頼である、と。

きちんと目的を話してくれることもまた、信用されている証しだと思います。

ですから、悪い気は一切しなかったですし、むしろ理解と納得がありました。

 

目論見というと隠しているものを感じて腹黒い印象の言葉に聞こえます。

相手にきちんと伝えられるものになれば、それは≪目的≫になるので伝え方さえ間違えなければ、聞いている側に共感さえ覚えさせます。

 

このご紹介者には、それを感じました。

持つべきものは応援者ですね。

 

そういった方を身近に作れるというのも、本人は自覚しているのか分かりませんが魅力という才能の一つなのかもしれません。

 

 

ネット社会になった代償から回避

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物件探しの第一歩が、不動産屋さんへの来店からネット検索に変わりましたね。

情報が手に入り易くなったことは喜ばしいことです。

 

ただ、どんな業界も情報過多になっています。

時には惑わされたり、正しい情報を得られなくなるのがネット社会の代償でしょう。

 

見分けや聞き分けの為の情報集めを意識しておくことが大事になってきました。

 

情報は「担当者だから」言っていることをそのまま信じるのではなく、自分の味方であることをきちんと判断することから始まると、私は考えています。

 

物件情報を載せているから話しを聞く。

これには警鐘を鳴らしたいと思っていることは、お伝えしておきます。

 

今回は、このネット社会の代償にご本人が影響されてしまったこともありました…

 

 

 

ご依頼案件の予算は、賃料14~15万円。

独り暮らしにしては十分だと思います。

 

それでも、設備なども含めて物件条件へのこだわりが強ければ、予算は幾らあっても足りなくなるものです。

 

何十件と物件をご紹介させて頂きましたが、こちらからの物件提案には興味を示してくださることはありませんでした。

 

「ネットで見付けた」と、何度もネットに掲載された物件ページURLを添付したメールが来ました。

これ自体は、そこまで珍しいものではないでしょう。

私も、ご本人の好みをより共有し易くなりますので、有り難いと思いました。

 

…ただ、ついには100件を超えてしまったというのが大変でしたね。

 

都度、すべてを調査し不動産会社に確認の電話をしましたが10分の1も実際には存在しない物件でした。

 

これもまた、珍しい話しではないのが不動産業界の実態なのです。

驚かれますよね?

 

『釣り物件』と『おとり広告』

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ネット掲載はされていても、こうして実際には募集していない物件のことを『釣り物件』、『おとり広告』と言います。

 

最近ではドラマで存在を知られることも多くなりました物件データバンク『REINS(レインズ)』。

行政が入居募集中や販売中の物件登録を義務付けた指定データバンクです。

これが、不動産業界のルールです。

 

それでもルールを無視する不動産会社が、まだまだ多く存在します。

 

どんな大手不動産会社であっても、支店によってルール違反をしています。

数年前には、週刊ダイアモンドが社名をそのまま公表し、正確な違反物件数の数字まで掲載したぐらいです。

 

 

こういった行為は、とにかく集客して来店してもらい「すでに決まってしまった」、「○○な不都合が実はあるからオススメしない」などの口実で他の物件をオススメします。

 

物件情報を頼って複数の不動産会社を回るのなら、信用できる担当者を探そうとして複数の不動産会社に足を運んだほうが得られる情報も、人の目利きも養われるというものです。

 

社風や人間性は、物件を決めた後の契約内容や物件引き渡しまでのやり取りで嫌な思いをすることもあれば、とても満足のいく接客を受けられるがどうかに影響します。

 

入居募集を実際にしていないものはしていない。

物件情報料に、会社ごとの差は余りない。

 

この現実を踏まえ、どうするか考えることをオススメします。

 

賃貸のお部屋探しをする不動産会社が言ったらアピールに聞こえるのでしょうね。

私は賃貸のお部屋探しをしない身として、真実を元に進言させて頂きます。

 

 

引っ越し時期と戦略

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興味を持った物件が10分の1と言っても存在する物件もありました。

 

その物件たちも、この話が1月~2月という業界の繁忙期だった為、問い合わせてもほとんど決まってしまっていました。

 

賃貸の退去予告は一か月前です。

連絡を受けたら、少しでも空室期間が出ないように、退去予定の物件も直ぐにネット掲載します。

 

ですから、やっと募集中の物件が見付かったと思っても「内見可能予定日は3月中旬になりますね。」という結果になってしまうこともありました。

 

この時期は毎年、大学合格者や就職予定者が集中します。

その競争率の凄さは、内見せずに決めていく方の多さが物語っているほどです。

 

紹介する私たちも大変ですが、色んな理由があるにせよ決めなければならないお客様たちは本当に大変だと思います。

 

時期をズラすのか、見ずに決められるほど物件を見慣れておくのか。

こういった戦略も、予め決めておくのが良いですよ。

 

住まいは、見なければ気付けないものがある

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どこの不動産会社でも言っていることだとは思うのですが、住むための物件ならば、現場に行かなければ分からない魅力があります。

 

頭の中で思い描いていた自分好みとは違う、物件を見た時に初めて気付く本当の自分の価値観や優先順位が明確になることを、ぜひ、知っておいてほしいと思います。

 

「前回の引っ越しで分かっている」と言われましても、その何年間かで価値観の微妙な変化が必ずあります。

昇進、スキルの向上、交友関係、実体験など。

 

変わっていないなら引越ししなくて済むわけですから。

引っ越しの為の物件探しは、ぜひ、そういった自分の変化や成長もまた楽しんで頂けましたら、この業界に携わっている身としては嬉しいものです。

 

紹介案件に共通すること

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ここまで不動産業界の実態や動き方、ちょっとした楽しみ方をお話ししてきました。

本筋に戻しましょう。

 

物件探しでこだわったこと。

ちゃんと募集ルールを守った会社は、対応もきちんとしてくれる傾向にある。

 

今回、最も優先しなければならないことは、個人情報を守ってくれることです。

そこを考えると、おとり広告をするような不動産会社に足を運ばせないようにするのも仕事の一つだと認識していました。

 

物件条件、扱っている不動産会社の信用性などを加味して「似たような物件ならあるよ」と送っても結局、興味を示して頂けませんでした。

 

ネット掲載では室内写真も載っていますから、募集図面だけの情報では見劣りもしてしまうのでしょう。

 

掲載しています他のコラムの事例でも挙げていますが、相続事前対策での不動産の買い替えも同じです。

形から入ってしまうと、本来、最重要視しなければならないことが見えなくなってしまうことがあります。

 

ご紹介者である税理士さんからも、この点の再認識のフォローや説明をしてくださったという連絡もありましたが、それでも新生活への期待感には勝てなかったようです。

 

紹介者によるフォローの後も、変化はありませんでした。

メールに添付した物件が全くと言っていいほど見れなかったことから、ご本人も嫌になってしまったのかもしれません。

 

レスポンスの反応が芳しくなくなってしまいました。

 

いくらご紹介と言えど、無理強いは良くありません。

ご本人に「直接、掲載している不動産会社に連絡したかったら、やり取りしても良いよ。」と伝えました。

 

「けど、個人情報を守れなくなる可能性は大いにあります。紹介してくれた方も含めて、周りの心配は、そこだよ。」と、せめて周りの方々の気持ちは心に留めておいてほしいと思いました。

 

一度、他の会社に行くなら再度お願いされることは期待しないほうが良いと思っています。

だから、せめて私にできることは、言葉を添えるぐらいです。

 

少しでも不動産業界の怖さを知っている方がご紹介してくださる時の気持ちは、みなさん同じです。

 

「少しでも嫌な思いをしてほしくない。」

「少しでも多く、気持ち良い想いで新しい生活を迎えてほしい。」

 

とくに芸能人、それも若い女の子ともなれば尚更でしょう。

身の危険だって思い浮かべてしまいます。

心配で仕方ないはずです。

 

「守ってあげてほしい」

言葉にされなくても伝わってきていました。

 

 

大事に思われれば、最後は同じ

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ご本人は、物件を掲載している不動産会社と直接やり取りすることを選びました。

 

そこからの詳細は知りませんが、どんな不動産会社が最後に携わったのかの結果だけは、ご紹介者が筋を通してご報告くださいました。

 

紆余曲折があったようです。

最後は、大手の賃貸専門会社の重役が担当して部屋は決まったそうです。

 

それでも結局は、「この中から選びなさい。」と言われて選ぶ流れになったそうです。

 

他決とは言え部屋が決まり、案件は収束しました。

しかし後日、そこまでの事情を知ったご本人のご両親から謝罪がありました。

 

「本当に失礼なことをしてしまったと伺いました。」と。

愛情をもって接している方ならば、ご紹介者が何を想い、何を見通し、何が最もご本人の為になるのかが理解できます。

 

そのうえで、私を紹介したからこそ、親として筋を通したかったのだと思います。

 

これは、年齢による経験の差だと思っています。

ボタンの掛け違いです。

 

紹介を受けることの意味合いを、若くして心でも理解してほしいと思うのは我がままです。

自分で決めていることをしてみたくもなるでしょう。

 

それでも、見放さない方が傍にいることが分かっていれば、自分が身を引くことで分かること、紹介者の想いが通じるきっかけも生まれますよね。

 

 

今回、本当に伝えたいこと

いかがでしたでしょうか?

『不動産業界の実態と人の想い』

 

おとり広告、釣り物件の多さ。不動産業界が忙しい時期に、これらが最も増えます。

来店への誘致目的で、人間関係に様々ないきさつを作ってしまうことがあります。

 

この問題の本質は、不動産会社の運営方針ではありません。

 

物件オーナーが、自身の物件状況、管理会社とのやり取り、募集委託先の不動産会社に対して放置し過ぎていることです。

 

だから、おとり広告に使われていることにも気付けません。

空室期間が無いようにしてほしい、賃貸経営を安定させたい、将来の不安を感じたくない。

 

それならば、きちんとルールを守る不動産関係企業にのみお金が支払われることで、愛情ある企業の存続を守る環境づくりを、一人ひとりの不動産オーナーが行なっていくことで実現していきませんか?