2.銀行交渉はけんかと同じ

まず、はじめにやったことは、銀行交渉をして、元金の返済をストップすることでした。
そのまま30億円借金を返済し続けると、すぐに、資金繰り困難に陥って、破綻してしまう
からです。「返済計画の見直し」というタイトルで書類を整えて、提出しました。
一応、銀行側の元金ストップの稟議が通ったということで、不動産の売却から始めました。
一番最初に手を付けたのが、17億円で購入した一棟マンションです。みなさんこのマンション
いくらぐらいに金額が下がったと思います。1/5以下の3億円ぐらいになちゃたんです。
銀行側も3億円前後で売却OKとなり、そのかわり、銀行側の不動産屋も売却の手伝いをして、
どちらか高い方で決めましょうということになりました。
結局、こちら側の金額が高かったので、契約して、決済を待つばかりとなりました。ところが、銀行側は抹消できないと、言ってきました。
稟議が通ったから不動産を売却しようということになったのにおかしいですよね。そこで銀行側に「いったいどういうことになっているのか。抵当権抹消ができるということで、おたくの系列の不動産会社と同時に販売活動を始めたんですよね。」というと「第2抵当の子会社の稟議が実はまだ取れていなかった。」と説明を受けました。ダチョウクラブではないですが、「聞いてないよ。稟議通ったって言いましたよね。」と言っても、いや、「そういう風には言ってない。通ったとして、販売活動しましょうと言っただけだ。」の一点張り。私は机をぶったたき、「冗談じゃないよ。こっちは生活が掛かっているんですよ。そんないい加減な対応でどうすんですか?とにかく、あなた達では、話にならんから、支店長を呼んで下さい。」と言いました。支店長は平謝りに謝って、とにかく、2週間待って欲しいと誠意を見せてきたので、当方も、それ以上の進展は望めないのが分かり、その場を治めた方が利口だと思い、なんとか買い主様を説得して、2週間後に必ず決済をするということで分かれました。
その2週間後、決済日が来て、なんとか、決済ができました。よく、買い主側も我慢してくれました。契約自体が破談になっても、文句は言えない状況でした。まさに損害賠償にもなりかねない状況だったんです。この一連の流れを穿った見方をすれば、万が一、銀行側の不動産会社で決まっていたら、あっさり、抵当権抹消がされていたのではと思ってしまいます。
その後も、その他の物件の返済金額や返済方法などで銀行側の一方的な意見を押しつけようとすることがあり、侃々諤々することも多く、
その都度、担当者および部長と言い合いになったのですが、先方も杉浦の案件は直接、支店長と
交渉しないと進展しないことを悟って、全て、支店長対応になりました。銀行内で支店長は
ある程度の権限を持ってますし、対応も真摯で早くなりこちらとしても願ったり叶ったりでした。
ある時、支店長に杉浦さんこういう順番で不動産売却して返済した方が良いのではないかと提案されたことがあったのですが、「支店長その順番だと、こういう理由で節税できないので、結局のところ銀行への返済額が減ってしまいます。だから、こうやった方が良いのですよ。」と話をした時に何で、そんなにスラスラと税金とキャッシュフローの話ができるのですか、と感心されたことがありました。それもこれも、全て、準備していたから、すぐに、肌感覚で答えられたんですね。
そもそも相続対策の失敗は17億円のマンションを購入したことが、決定打となっのですが、
父親がこのマンションを購入するのに、一度、H銀行に融資を断られたので、手付け金を放棄しても破談にしようと思ったんです。が、某ディベロッパーが代わりにD銀行を連れてきて融資を強引に押し
薦めていきました。バブルの終焉だったので、某ディベロッパーの担当者も相当押し込んだみたいです。
父親も人がよいので、最終的には押し込まれてしまったのでしょう。当時のD銀行の事業計画を
読み解くと、バブル終焉後にも関わらず、右肩上がりの経済を想定していて、返済が行き詰まるのがわかるもので、私は、銀行の担当者になんでこんな、資金繰りが詰まるのが明らかに分かる提案をしたんだと問いつめたのですが、相続税がなくなって、その対策になったから、良いじゃないかと返されまして・・・。「相続税が無くなったからって、財産全て無くなったら、本末転倒じゃないんですか?」
って返したら、なんにも返ってきませんでした。
また、20才の大学生が連帯保証人になっているのを考えると、強引な貸し付けにかかわらず、
自分たちのリスクは取らない一方的なものと思ってしまいます。まー、たしかに印鑑押した
当人達に一番責任はあるとは思いますが、押した記憶も、借入の説明を受けた記憶のない私は
どうなんでしょうね?。当時、貸し付け責任を問われて、相当数の裁判で銀行は敗訴してます。
うちのケースは債務者が経営者ということで、判断能力があるという判例で敗訴していたので
勝ち目が薄いと裁判をしませんでした。銀行員は単なるサラリーマンなので、出世のことしか
考えてなくて銀行側にしか顔を向けてません。そこをこちらに向かせるには、けんかするぐらいの気合いで対峙しないと、こちらを向いてくれません。まずは、支店長と直接交渉できるように
なるのが先決かなと思います。人生の中で、2度、銀行に人生を翻弄された僕は思いますが、
彼らは、晴れているときに傘を貸して、雨が降ったら、傘を取り上げる人たちです。梯子を簡単に外します。なので、みなさんも、銀行との取引は、是非、ご注意下さい。