4.ハウスメーカーの罠

今一番相続対策の営業に力を入れているのは、ハウスメーカーだと思います。
更地を所有している地主さん宛に片っ端から営業を掛けている。
その時の殺し文句は
「更地よりもアパートを建てた方が、節税になります。まず、固定資産税が1/6になります。所得税も減価償却費や金利で節税でき、相続税評価も下がります。また、収益の面から考えても、なにも利益を上げない土地を遊ばせておくのはもったいないですよ。1億円の建物を建てれば、年収1千万円増えます。この低金利時代に利回り10%ですよ。しかも、家賃保証にすれば、100%保障されます。」
こんな話をされたら、コロっとアパートを建ててしまう地主さんもいると思う。
ところが、この話にはいろんなリスクが潜んでいる。

①売却時に困る。
上記の利回り計算は、土地の事を含んでいない。売却時には当然に土地・建物の利回り計算となる。仮に新築時に6%で売却したとすると、約1億6千万円となってしまう。本来、土地1億と建物1億、合計2億のものが、約1億6千万円となってしまうのだ。更に、ハウスメーカーの中には、ペラッペラの建物を建築する会社もある。そうなると、更地に直さないと売却できないケースも存在する。
②経費のリスク
仮に、建物1億円を建てるのにすべて借り入れでまかなった場合、金利約5000万円。
30年間の修繕費は約9000万。家賃下落リスクは約3800万。その他、空室リスクや家賃滞納リスクなども存在する。これらを合計すると、約1億8千万円+αの経費リスクが存在するんです。
しかも、ハウスメーカーから提示される事業計画書にはこれらのことには触れられていないことの方が多い。修繕費の計上は、1/3程度、家賃は30年一定で満室稼働・・・。

更地にアパートを建てることに反対しているわけではないが、これらのリスクをしっかり把握した上で事業計画を立てないと足元をすくわれることになります。