好立地なのに「狭い」「小さい」「形が悪い」とご相談いただいた事例

不動産は、『動かせない資産』ですね。
「相続のこともあり不動産の売却を考えているけど、自分の持っている不動産は好立地なのに『狭い』『小さい』『形が悪い』で売れないかも!?」と思っていたらまだ諦めるのは早いです。

実は、立地が良かったから販売に繋がったケースもあります。
「『駅近なら売りやすい』なんて言われているけど、私の不動産は大丈夫ですか・・・?」

そんな不安からご相談いただいた事例を、今回はご案内いたします。

今回のポイント

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・事前準備をする
売ることは、買主から払われる手付金等で仲介手数料などの経費は払えばいいものだという思い込みは誠実な対応をする担当者を見逃してしまう可能性があるということです。

・調査と販売の結果の開示
物件調査を行なうと不都合な事実が分かることもあります。
この報告は誰が悪いというものではありません。
本当の意味で物件と向き合うことがお客様との良好な関係を保った取り引きとなります。
数ヶ月売れなかった場合に言っても誰の何の得にもならない。
ましてや、買主に迷惑を掛けてしまい大きなトラブルや請求をされるケースもあります。

もう少し詳しくお話しします。
土地や一戸建てを売る場合には、物件状況によっては売り出す前にお金を掛けて物件を整えなければいけないことがあります。

土地は『測量』費用。
建物は『検査』費用。(インスペクション)

建物の検査は、本来、買主が費用負担します。
売主が依頼した検査では、売主に都合の良い検査結果になる可能性があるからです。

検査費用の相場は『5~6万円程度』です。
信用が見えない物件であるがために売れなければ、情報の鮮度が命の現代においては数十万円~100万円単位で値下げする必要が出てしまいます。

売れ残ってから検査をしても、物件を紹介する不動産会社の営業マンが目新しさを感じないので紹介にチカラが入らないことさえ起きています。

今後、メンテナンス工事を定期的に行なっていたか?を買主が気にして購入判断をするケースは増えてくるでしょう。

買主は、年々賢くなってきているのが現実です。
メンテナンス工事をしていないことが、どれほどお金が掛かることなのか、工事をしていないことで売値が何百万円も安くなってしまうのか、それが知られてきているんです。

こういった現実も踏まえながら、お任せする不動産会社選びはしてくださいね。

相続したその先が分からない

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相談してくださったのは、税理士一家のご家族。
実は、私が親の相続対策失敗で背負った30億の私の借金、その解決で大変お世話になった税理士一家のご子息からの相談でした。このご子息は、私の高校時代の友人でもあります。
私が大変な時にお力添え下さった税理士先生が他界し、相談してくれたのがきっかけです。

税や相続に強いことと不動産取り引きや不動産活用を理解していることは別ものです。
それこそ、狭い小さい(狭小地と呼ばれるもの)、形も悪い(不整形地、地型が悪いと言います)となれば異次元の世界です。

私のところに相談に来た時には「どうしたら良い?アパート建築かな?売却かな?」と。
その物件は、土地の広さは19坪。

19坪に建つアパート?
客観的に考えれば、「それは無いでしょ?」と思うことでしょう。

ここには経緯がありました。
もともと借家として貸し出し。
借家人(借り手)が亡くなったことで、貸し出していた不動産権利を所有権に戻してもらうことになった、と。

土地自体は33坪あるので活用方法はあるのではないか?と思っていたのです。
けれども道路の形状を見れば、私たち業界の者からすれば建て直して大幅なセットバックは予測できます。結果として、土地は19坪まで減少することが分かったのです。

山手線で人気のある駅、徒歩4分といえども19坪となると狭いけれど高い価格になるので難しさが伴うことはご理解いただけることと思います。

現実問題を示して決めて頂く

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調べるほどに非常に難しい物件であることが分かります。

・家屋の解体費用に200~300万円
(2トン車しか入れない道路のため、かなり割高)
・電柱の移設工事 100万円超え
(道路の中途半端な位置に残ってしまう。土地の所有者が負担する)
・セットバックによる道路の整備費 100万円ほど
(前面道路は近隣の皆さんで所有し維持管理していく状態のため)

・測量費に50万円
(土地の形状が変わるわけですから測量が必要)

この事実をきちんと伝えました。
買い手の視点も共有するために、建物プランを知り合いに描いていただきました。
これが無ければ、買い手が現れそうか否かを一般消費者であるお客様に判断を仰ぐことは失礼です。

そうしたところ、3階建てが建つには建ちます。
天空率を加算して最大限に部屋を作ろうとしても、ちょこっとした空間が作れるかなぁ?ぐらいの間取りプラン。
19坪の3階建てですからね・・・

買い手が簡単に見付かるとは言い難いことは共通認識となりました。

アパート建築には無理がありました。
賃貸経営の方向性で賃貸戸建てを建てても、建築費の回収だけでも何年掛かることか・・・
キャッシュフローが成り立ちません。
アパートローンの融資も打診したのですが、当然に否認でした。

「この600万円を掛けてまで(一般市場で)売りますか?」
一般市場で売るなら4,000万円後半~5,000万円。

デメリットは時間と手間です。
すべてを整えるとすれば、半年掛かること。
申請手続きなど、自分でも動くことが幾つもあること。
売り出しから成約までにも時間が掛かる可能性も否めません。

すべてを省く取り引きは、ひとつだけです。
物件の売却責任も一切問われない『再販売を目的とする不動産買い取り事業者』への売却です。価格としては4,000万円になることは下調べがついていました。

1,000万円近く安くなる取り引きです。
売却に期限があるような急ぐご相談ではありません。
そうした状況の中、お客様は業者への売却を決断しました。

徹底した調査と結果の開示

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状況を整えた業者の再販売の結果は、どうだったのか?
正直に言います。・・・直ぐに売れました。
あまりにも予想と違ったこともあり、お客様に直ぐにお知らせしました。

お客様にはこんな気持ちを持つ場合もあるからです。
「こんな難しい物件を売って、迷惑を掛けていないか?」と。

今回は知らせたところ、驚きと喜びの反応がありました。
普通は驚きます。
なにより、私が本当に本当に驚かされましたから(笑)
「おいおい・・・こんなに早く売れてしまうの!?」

再販売の際に、私が販売窓口をさせていただいたので一部始終を知れました。
不動産会社が戸建て希望のお客様リストを持っていて、一斉に顧客リストに情報を提供したところ、我先に!と反響があったようです。

まだ基礎工事に着手さえしていない青地状態、注文住宅ではなく建売りで。
それも、すぐに3つも購入申し込みがほぼ同時で入ったほどです。

これを私は読めなかったですね。
駅から4分の好立地。
全国の不動産業者だけが閲覧できるデータベース『レインズ』への掲載で速攻でした。

売り出す前、売った後・・・
そこを問わずどんな結果でも、きちんと報告したことでお客様である友人からは納得している旨のやり取りもありました。

不都合の報告を恐れては、本当の意味で仕事を楽しむこともお客様との良好な関係を保った取り引きは難しいのだろうと、これまでの考えも肯定していける経験だと思っています。

まとめ

みなさんが目にする、商品として売り出される前に整えていることが幾つもあるものです。
手間と安心があって、はじめて成り立つ価格があります。

物件の状況に対応する資金や手間、時間への余裕があってこそできるものもあります。
現実を見据え、差額に納得した心の折り合いをつけましょう。

売り方へのこだわりがストレスとならないよう、心のバランスの取れた相続対応をしてくださいましたら嬉しいです。

いかがでしたか?
実際に小さくて形が悪くても今回のケースのように準備をしっかり行ない、情報開示を徹底することで相続が争続とならずにスムーズに売却を進めていくことが可能です。

相続では、相続税だけではなく所得税や固定資産税など多様な知識が必要となります。
税理士さんや不動産会社など個々にご相談するより、ワンストップでお悩みをサポートできるのが弊社の強みです。

ぜひ、銀行やハウスメーカーなどからご提案をもらった時に少しでも不安を感じたら、セカンドオピニオンとしてお気軽に弊社コンサルタントの無料相談にお越しください。