パズル

【二束三文と思っていた家が600万円!?状況を整えることが相続の仕事の本質】

今回もまた、難しいものが複雑に絡まった事例をご紹介いたします。

 

「賃貸不動産を相続したは良いけれど…」

毎月賃料が入ってくるから他人様から見たら良いように思えるかもしれない。

けれど…

当の本人は悩みや不安を抱えてしまっている、そういう方は実に多いものです。

 

専門家からしてみても同意しかない状況で、沢山あるんです。

 

「え!?どういうこと?」

 

簡単に想像の付くものではないので、そう思いますよね?

お金が入り続けていれば良いわけではないのです。

 

そんな事例を今回は、ご紹介したいと思います。

 

お客様状況

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長崎県に住む60代の男性。

長崎県出身の生命保険業の方からのご紹介でした。

 

紹介者からは、こう言われていました。

「娘さんが都内に住んでいて、年に2~3回は会いに東京に来るようです。その時に相談に乗って頂きたいんです。」

 

長崎県のご自宅に伺う話しではないし、急ぎの案件でも無いのかもしれない。

複雑な話しほど近々の予定が指定されることが多いので、少し気を楽にし過ぎていたかもしれません。

 

話しを聞いてみると、「これは…」と私も、悩むのも不安に思うのも頷けるものでした。

 

物件は、北千束駅から徒歩10分、60㎡の整形地に建つ貸家。

築年数は、かなりのもの。それでも、入居者あり。

賃料は月10万円。遅延、延滞は無し。

ここまでは、問題なし。

 

ところが、大きな問題点が2つ

建物が建つ土地の権利は借地権

さらに再建築が不可能な状況の土地でした。

 

前面道路と1.9mしか接していないため、建築許可が得られないのです。

※建築の為の接道条件は、2m以上です。

 

そんな貸家を売りたいという依頼でした。

「次の世代に残したくない…だから、手放したい。」

 

年に何度か東京まで娘さんに会いに足を運ばれるほど、ご家族を大切にされていらっしゃるお父さんです。

お気持ちは察するに余りあるものでした。

 

何が難しくさせているのか?

借地権

まず、この貸家における権利関係を見てみましょう。

 

構成は、このようになります。

底地人(土地の所有者)

借地人兼貸家オーナー(お客様)

借家人(入居者)

 

借地人が家を売りたいとなると、建物は勿論のこと、土地の借地権も一緒に売ることが通例です。

 

今回の場合、家屋の築年数は随分なものですから価格は付けられないものと見ます。

借地権は、借地権割り合いというものが接している道路ごとに設定されていますので、それを基に算出します。

 

インターネットで『路線価図』と検索しますと、国税庁が管理するサイトページが見つかりますので、ご自身の住所を探して記載内容を理解していくと覚えも早いでしょう。

(国税庁の路線価図のサイトは、こちら)

http://www.rosenka.nta.go.jp/

 

通常の所有権の価格を算出しましたら、借地権割り合いに合わせて、土地の価格を掛けます。

 

例えば、路線価で1㎡あたり100万円の道路に面する土地があったとします。

その道路に設定された借地権割り合いが60%なら、売るにしても買うにしても1㎡あたり60万円での取引が相場ということです。

 

逆に、底地を買いたい場合(土地の所有者から底地の権利を買って借地権を所有権にしたい場合)は、底地権にあたる40%(100%-借地権60%)、1㎡あたり40万円で買うのが相場ということになります。

 

と、まぁここまで借地権の価格算出方法を話してきたわけですが、今回は建物が入居者のいる貸家です。

 

入居者がいる場合は賃料を得る権利の売買です。

投資物件としての扱いが妥当です。

賃料÷利回り=価格で算出する査定方法『収益還元法』を用いる、至ってシンプルな計算式です(笑)

 

回りくどくも解説をしたのは、せっかくの借地権のお話しです。

売買取り引きの知識の一端として知っておいて損はないと思ったからです。

 

路線価と借地権割り合いは、知っておくと何かと便利ですよ。

 

さて、本題である問題の難易度の話しをしましょう。

借地権を買ってもらうというのは、買主が自宅や事務所としてなど買主ご自身が活用する場合には、時間を要するとしても一般市場での取り引きは可能です。

 

しかし、貸家で賃貸中となると、価格の折り合いが付きづらいものなんです。

 

先ほど、借地権の売買と投資物件の売買の価格算出方法をお話ししました。

都内ですと、借地権と築古の貸家では計算式の性質上、借地権の方が高い価格が算出されます。

さらに、名義変更手数料を底地人に支払ったり、借地権は更新料を底地人に支払ったりと出費があることで、投資効率が大変悪くなります。

 

一方、投資物件の扱いで『賃料からの割り戻し』で算出すると、大変安い金額設定になります。

安いとは言え、先ほど申し上げた底地人への出費があることは同条件です。

 

取引価格が安くても長期収支計画で見れば、コスト面は他の投資物件と比べると悪いものになります。

 

一般消費者の買主様を対象とすると、安くても『手を出しても良いことが少ない』物件に分類されます。

 

こうなりますと、取引対象が底地人か、もしくは借家人の二択です。

それでも、どちらかがが買ってくれたら相当に運の良い話しです。

期待しないこと、自分で慣れない交渉ごとに動いて失敗すれば、その後プロが間に入っても取り引きがまとまるものではありません。

 

チャンスは一度

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取り引きチャンス一度

そう捉えるのが賢明なのが不動産です。

 

大きな金額が動くものですから、感情が成約の成否に大きく作用する取引です。

縁ものと言われますから、そこから縁起物の扱いもされます。

 

一度、難癖の付いたものは縁が無かった、諦めるも吉とされます。

これは、時代や年齢層は無関係のようです。

知ってか知らずかは問わず、若い年齢層の方でも同じ反応を示します。

 

相当に、左脳的に金銭メリットで割り切れる性格と打算があれば話しは変わりますが。

 

そういったこともあり、セオリー通りであり希少な取り引き相手は底地人と借家人のお二方となります。

 

正直に状況を整理し、ご理解を頂いたうえでお客様にご意向の再確認。

「二束三文でも売れたらラッキーですよ?」

「ダメ元で動きます。」

そう、告げておきました。

 

何せ、入居者は70代。

ローンを組めるわけでも無いので見込めません。

 

つまり、実質的商談対象は底地人の一択だったのです。

底地人に当たってみるか…

 

ところが、最初は底地人の所在が分かりませんでした。

毎月の地代の振込先は昔から変わってはいなかったのですが、なんと、底地人は相続が起こっていて、かなりの時間が経っていたにも関わらず、相続手続きをしていなかった為に、現在の底地人が登記簿謄本では分からない状態だったのです。

 

この状態では、私には調査権限が職務的にありません。

お客様のほうで底地人探しの調査をお願いしました。

 

しばらくして、現在の底地人の居場所が電話番号も含めて分かった旨の連絡がありました。

早速、私から底地人に電話することとしました。

 

「一回、会ってくれませんか?」

お客様事情を話すと理解を示してくれました。

 

「あぁ、あの土地ね。知ってはいるよ。」

こちらの申し出に応じてくださったのです。

 

会ってみると

「どうしようもないよね・・・」

底地人として、お客様である借地人の視点とお気持ちを察してくれました。

接道が1.9mであることを認識していたのです。

 

私からの提案

男性 電話

「これ、売れるの?ホントに??」

 

名義変更への承諾もあるのですから、お客様の売りたい意向はお伝えしました。

無理のない反応です。

しかしながら、底地人である目の前の方に借地権を買う意向を確認したわけではありません。

 

底地人でも借家人でもない第三者への売却戦略への了承とご理解を求めたのです。

 

提案内容は、こうです。

底地権と借地権を同時に買って所有権として欲しがる人を探して来ても良いだろうか?

底地人のあなたも売る気はありませんか?

 

この提案に、先ほどの疑念の反応だったのです。

疑念はありつつも、売ることには了承を得られたことで、底地人と借地人の二人から売却了承の契約である媒介契約書を取り交わすことが出来ました。

 

入居者は70代。

例えどんなに元気であられても、明日、何が起こっても不思議ではない年齢。

悠長に事を構えているわけにはいきません。

 

リスクをチャンスと捉えてくれる相手を購入ターゲット層にすることで、可能性も効率も上げることができます。

 

隣地の方か不動産買い取り専門業者です。

隣地居住者は、入居者へのネガティブな印象さえ持っていなければ、理解を示しやすい唯一の一般消費者と言っても過言ではありません。

 

しかし、今回は意志の決定根拠が明確なことが大事です。

今回のような難しい案件を好む買い取り業者に絞り込んで動くことにしました。

 

買い取り後の物件の有益な運用方法をプレゼン。

 

直ぐに転売せずとも、しばらくは保有しても利益が出やすいパターン

通常通り、直ぐに転売するパターン

どちらでも、有益な金額設定で商談に来ている旨を伝えました。

 

結果、買い取り業者の反応は

「隣地と交渉して、10cm分の土地を買えば良いんですよね?」

 

私としてはリスクヘッジの道と軽口を混ぜて…

「もしも、その交渉が上手くいかなくても利益が出る前提ですよ。」

「(上手くまとまれば)化けるから大丈夫なんじゃないの?」

 

業者「…うん、そうですね」

 

都内、徒歩10分圏内の優良立地条件の難しい案件にチャレンジする会社

落ち着きどころとして利回り20%、商談スタートは16~18%で示したいところです。

 

700万円(約17%)でプレゼンはスタートしていました。

そこに、600万円での指し値。

 

「二束三文でも売れれば、相当に運が良い。」

お客様には当初にこのように伝えていた身としては、かなり嬉しかったですね。

 

買い取り業者との取引は、建物にしても、土地にしても瑕疵担保責任は免責(不問)です。

面倒で見通しが付きにくい隣地との10cm売買の交渉も買主任せ。

 

取り引き条件は消費者に有利です。

 

まとめた商談を、長崎で待つお客様と底地人に報告。

売価600万円の内訳は、借地権割り合いに沿って対応します。

 

底地人    借地人

240万円 :360万円

 40%  : 60%

 

お客様たちは、当然に驚きと喜びで迎えてくれました。

「おぉ!スゲー!!ラッキー、ラッキー!!」

「ありがとう、ありがとう!」

 

今回の商談のミソには、もう一つ、仕掛けがあるんです。

 

一般的に、商談を上手くまとめるには不安要素、不確定要素は排除しておくものでしょう。

ところが、不動産取り引きにおいては、不安要素を残しておく方が有利な商談の持ち掛け方となることもあるんです。

 

入居者が、いつまで健康であるか?

 

もしも、近年に何かあって退去になれば、現状で売るよりも更地にした方が買い手は付きやすい築年数なわけです。

 

大きな出費、解体費の問題です。

次の展開にお金が必要になるからこそ、買主有利の『収益還元法』の採用で価格設定を下げ、入居者の万が一が更地取り引きを引き起こし、価格を一気に跳ね上げ、収益を上げられる旨みです。

 

こういった差益の儲けの出し方をアービトラージと言います。

アービトラージ…これこそ、手塩に掛ける不動産コンサルティングの面白さです。

 

不動産とは、今回のように状況によるアービトラージの発生は勿論なのですが、その他にも価値の感じ方の違いで、まったく別物クラスで金額が変わることもあります。

 

そのお話しは、また別の機会にでも。

 

不動産コンサルティングとは、状況を整えつつも、残すものを何にするのか、どうするのか一つで魅力が変わることにあると思います。

 

一般消費者が動くから出来ること、我々プロだから動けること。

 

それぞれの利点は状況によって違うからこそ、「頼んだら、後は任せたい」という無関心・他人事では進められない、もしくは取れる手段が減ることで大きな損をお客様に与えてしまうことがあります。

 

依頼料にかける期待は、人それぞれだとは思います。

しかし、勝手にやっててほしいというスタンスだけは捨ててください

 

無駄に自分たちだけで動くことも得策ではありません。

私たちへの理解のうえで協力的になってくださいますと、今回の事例で底地人が見付かったように、大きな一歩を踏み込めることが沢山あります。

 

難しい案件でも、パズルのピースを一つずつ嵌める楽しさもまた感じて頂けましたら、きっと解決に向かうと私は信じています。


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【ご依頼のタイミングが人生の分岐点!大手不動産会社だから出来ない案件を解決。資産家案件での貸しを一般規模案件に活かすコンサルティング対応】

世の中には、不動産を担保にお金を貸してくれるサービスや制度があります。

資金使途が自由なものもあれば、事業資金として貸し出してくれるものもあります。

 

ただ、お金を借りる時というのは大概、返す時の条件を確認していないものです。

借り入れ先が金融機関の場合なら、そんなに支障は出ないでしょう。

 

ただし、街金・闇金と言われるところでなくても気を付けてください。

貸金業ではない一般有名企業が出資してくれる場合でも、驚くような条件を言い渡されることがあるのです。

 

今回はそんな、コンビニエンスストアの企業統合による突発的な出資でお困りだった方のお話しです。

 

≪目次≫

お客様背景

資金計画の確認

売却活動は、すんなりと。だが、しかし…

貸しを、頭を下げて使う

まとめ

 

お客様背景

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きっかけは、金融機関からのご紹介。

事業資金として不動産担保ローンでお金を貸しているお客様のお困りごとのご相談。

 

不動産担保ローンですと住宅ローンと違い、他の方がお金を貸して1番抵当権を設定していて、例え2番抵当権での設定となってもお金を貸してくれます。

 

この1番抵当権設定者(債権者)が、後に頭を抱える原因となるのです。

 

お客様は、その当時でコンビニエンスストアを2店舗経営しているオーナーさん。

どのコンビニエンスストアとは言いませんが、コンビニエンスストア企業同士による企業買収による影響で、当然に全店舗、内装変更工事をしなくてはならなくなりました。

 

この内装費用の捻出が、どうにもならなくなっているというのです。

 

資金計画の確認

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ご相談当初は、経営状態が芳しくありませんでした。

 

現金が期待できないからこそのご相談。

自宅売却でしかまとまったお金の準備が出来ないことが確認できました。

 

時間が余り無いとは言え、必要資金に到達するには不動産買い取り業者により取引価格では足りません。

 

不動産査定をしたところ、一般市場への売り出しで2,000万円が正当な価格であることがわかり、資金計画が成り立ちました。

 

コンビニエンスストアを始める際には、営業権を企業へ納めることになります。

これが500万円。(一番抵当権で登記)

 

次に事業資金で借りた紹介元である金融機関。

1,000万円。(第二抵当権)

 

そして、今回の目的である店舗内装費。

 

これらを差し引いても、少しは気持ちに余裕が出るお金が手元に残ります。

お客様からご快諾を頂き、売却活動へ。

 

売却活動は、すんなりと。だが、しかし…

前倒し

売り出しを始めると、意外にも直ぐに他社の不動産会社が買主様を見付けてくださいました。

 

相場で売り出すと、その妥当性は地域を理解している方ならば理解は早いものです。

買主様は、隣り近所の方が甥っ子さんに声を掛けてくださって見付かったそうです。

 

売買契約の締結もスムーズに事は運びました。

 

ところが、契約締結後に1番抵当権の債務者に連絡したところ、問題が出てしまいました。

 

抵当権抹消手続き書類の作成依頼に必要な期間の最終確認。

すると…

 

500万円の一括事前支払いが条件、と。

 

通常、金融機関からお金を借りた場合、債権者に残債額を返済した同日に抵当権抹消手続きを法務局に申請します。

その為、抵当権抹消手続き書類は事前に用意(作成)してもらうものです。

それが、お金をまとめて返してから書類を作成し始めるという話し。

 

書類作成に時間を要することは、当然に分かっていますので作成期間には十二分に余裕を持ったご連絡でした。

それが、事前払いの条件であることには胆が冷えました。

 

理由を伺い、交渉をお願いしても変わることが無かったからです。

金融機関相手ならば、他の金融機関の事例等で道は拓けます。

しかし、1企業内での規定となると独自性の主張は崩しにくいのが、弱ってしまうところです。

 

実績、経験といったものは、時に通常の手順では特殊案件ごとの穴により後手に回ることがあります。

 

自己フォローでは無いのですが、正直言えば、後手に回るのは仕方のないこともあります。

ですから、もしも、あなたが頼んでいる不動産会社が対処に後手に回る事態になっても、それ自体をどうか責めずにいて頂けたらとも思います。

 

大事なことは、後手に回ってもカバー出来るのか!?

ここだと思います。

 

貸しを、頭を下げて使う

銀行融資

抵当権が抹消できなければ、買主様からお客様はお金を受け取ることが出来ません。

 

とは言え、無担保で500万円も貸し出してくれる経営状況でもなければ、物件引き渡し予定日までの時間もありません。

不動産会社が直接お客様にお金を工面して、物件を借りてもらう、貸せるようにする、物件を買わせる、売らせることは違法営業行為です。

 

「とにかくお金を自分で用意してきてくれ」

と言って、街金・闇金に行かせるなんて言語道断です。

 

考えに考え、たった一人だけ、可能性を掛けられる人物に思い当たりました。

 

私の知人に、不動産業と金融業の認可を持っている者がいたのです。

これまで、幾度となく案件を紹介し売り上げ貢献もした間柄

 

お客様事情を説明し、私が頭を下げ、何とか500万円もの金額を貸してもらえることになりました。

さすがに、事情が事情ゆえに応じてくれましたが、今回の件を機に今後も甘えたいとは私は思いません。

先方にとって、ビジネスとして応じる必要があるものではありませんからね。

 

普通の不動産会社、特に大きな会社になればなる程に、応じられるものではないでしょう。

下手をすれば、担当者なり責任者なりの進退に大きな影響を及ぼす事案だからです。

 

これがクリアになったことで次に進むことが出来ました。

 

…そう、この事例の困難は、これだけでは無かったのです。

2つ、3つと同時に困難が起こったのです。

 

それはまた、次のお話しで。

【文化の違いは国だけではない。世代、立場、認識の違いも丁寧に。相続事前対策にも通じる不動産売買要件】

 

まとめ

いかがでしたでしょう?

お金を借りる時の確認事項の大切さや相談するタイミングの重要性は伝わってでしょうか?

 

今回の事例のご相談。

 

もしも、直接のお問い合わせだったら…

金融機関からのご紹介だったとしても…

 

私に話しが回って来た時に

「1番抵当権の抹消に事前払いが条件で、金融機関からお金が借りられないから。」

と言われていたら、請けていなかったでしょう

 

お金の借りどころを協力するお仕事ではありません。

 

では、なぜ、コラムに書いたのか?

それは…

 

●抵当権抹消には手続き書類の用意に時間が掛かること。

 

●物件を売却するしか、まとまったお金を用意できない場合のことを確認する。

(お金を借りる際に、返済時の確認事項の提唱。)

 

●毎月の返済義務が無かろうと、物件の売却と同時での返済対応が不可能な借り入れは、早期完済を目指すこと。もしくは、せめて無担保ローンでも借り入れ可能そうな金額(100~200万円)まで繰り上げ返済しておくこと。

 

●お金が枯渇してくる前に事実確認や計画を立てておくこと。

 

これらをお伝えしたいと思ったからです。

 

対応したことがあるから、同じ状況でどうにもならなくなったら相談してください、というニュアンスは一切含んでいません。

 

今回のような障害に見舞われ、誰も手立てが打てないことにならないように、早め早めの対処のお願い致します。

 

多くの案件をご紹介くださっている取引先からのお願いでもありました。

だから、相続事前対策ではありませんでしたがお請け致しました。

 

お金の工面も、一度きりであろうという暗黙の了解を汲んでの貸し出しでしょう。

 

この点を、何卒、ご理解くださいますようお願い申し上げます。


理論

【銀行の言い分を鵜呑みにしない!理論派不動産プロが暴いた銀行の不誠実】

今回は、銀行からの突然の連絡を真に受けてしまっていたら、何千万円の損をしていたか分からない事例のお話しです。

 

この事例は、よくある不動産によるお金の損だけではありません。

お客様の人生そのものが成り立たなくなる提案内容でもありました。

 

銀行との交渉経験が何度もある私への相談で、本当に良かったと思っています。

 

始まりは、高校の友人からの紹介でした。

10年以上も会っていませんでしたが再会した際

『話しを聞いてあげてほしい人がいるんだ。』

と相談を受けました。

 

銀行から知人に持ち掛けている話しが

正しいことなのかを診てほしい、と。

 

≪目次≫

1.物件状況

2.銀行からの不当な言い渡し

違約を検証

関連会社の言い値を検証

3.状況の整理

人生まで変わってしまう

心で事情を汲み取る

4.糾弾に値する銀行からの追加条件

 

 

物件状況

地続きの2つの土地。

北側の土地には母と弟の自宅を兼ねた作業場。

南側の土地に、27年前に3,500万円を借り入れして自宅兼アパートを建築。

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現地には南北の二面に道路があります。

しかし、水道やガス管などインフラ設備は北側道路にしか通っていません。

 

インフラ設備の引き込みというのは、配管に異常をきたした際に備えて建物を配管上に建てることは避けます。

結果、北側道路からの配管の引き込みラインがアパートへの導線(通路)にしたそうです。
引き込み

時は経つも27年間、銀行への返済は滞りなく進めていました。

ご相談当時のアパートローンの残債420万円。

あと数年で完済。

 

ところが突然、銀行が言ってきたことは…

 

銀行からの不当な言い渡し

立ち退き

階段が越境し、違法建築物になっている。」

「これは違約に当たるので、違約金が掛かる。」

 

そう言って

一括返済か?

工事をして違法建築を改善するか?

決断を要求してきたそうです。

 

検討するにあたっての予算の案内は

インフラ設備を南側道路から引き直し費用

550万円

 

そんな大金

おいそれと払えるものではありません。

 

その状況を先読みしていた銀行の更なる提案内容が、こちら。

「お金は、北側の土地を売れば用意できる。」

「関連会社が1坪90万円で買い取ってくれる。」

「それで建築基準法に則った改修工事をすること。」

 

 

どんな状況でも鵜呑みで話しを進めることだけは止めてください。

銀行であろうと、相手の言い分の正当性はきちんと検証することが大事です。

 

違約を検証

チェック

まず、最も心理的に追い込まれてしまう原因から診ていくことが大事です。

これは、手立てを考える猶予の確認にもなります。

打てる手と打てない手の分かれ道です。

 

今回では、違約の件ですね。

 

違約の言い分には、契約書の法的観点が必要です。

弁護士によるチェックです。

 

本件を得意とする顔見知りの弁護士に依頼。

 

弁護士選びで気を付けて欲しいことがあります。

それぞれの事務所、弁護士ごとに得意な分野が分かれていることです。

 

世間一般では、弁護士は問題事のすべてを対応できると思い込んでいるようです。

 

それは大きな間違いですね。

本当に自信がある弁護士ほど、どの分野に強いのかを明記しているものですよ。

 

ご紹介してくれるような知人がいない場合

出来るだけ分野を絞り込んで打ち出している人を尋ねて行きましょう。

 

本件の検証結果は、違約に当たらない

脅し文句であることが判明したわけです。

 

こうなると、他の話しも疑わしいものですね。

 

関連会社の言い値を検証

査定

1坪90万円の売却金額が適正か?

そこを確認してみました。

 

銀行から「関連会社が買う」と言われると

親切な対応をされているように聞こえるから怖いですね。

 

ここは、私の仕事です。

調べてみると1坪120万円で買う取引相手が見付かりました。

 

銀行の関連会社は、随分と買い叩いた金額設定を言い渡していたのです。

もう、こうなるとすべてが信じられませんね。

 

だからこそ、インフラ設備の引き直し工事費用

ここを信頼できる会社で見積もってもらいました。

 

工事費は、安かろう悪かろうが多いもの。

それでは、後々大変なことが起こり兼ねません。

 

そういった、こちらの意図も汲み取れる会社に見積もりはお願いしました。

 

相場は、200万円も見込んでおけば十分だと分かりました。

銀行が提示した550万円の見積もり

これもまた、脅し文句だったのです。

 

 

ここまで言い分が信用性を欠くものでした。

このまま同じ銀行に借り入れを残しておけば、次に何を言われるか分かりません。

 

問題の根本を断ち切ることが最善と考えました。

ご提案したことは、借り換えです。

今回の銀行との関係そのものを断ち切ることです。

 

状況の整理

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銀行からの脅し文句はさておき

状況を整理しましょう。

 

  • 外付けの階段が違法建築の原因
  • インフラ設備の状況が価値を二束三文にしてしまっている。

 

この現状では土地を売るにしても買主が融資承認を得られません。

その為にも、上記2点の改善は必須です。

 

でも、検討課題はそれだけではありませんでした。

 

インフラ設備を南側道路から引き直す。

単純に北側の土地を売る。

 

これだけでは問題が生まれてしまうのです。

 

  • 自宅の玄関の向きまで変えてしまうと工事費が大ごとになる。
  • 自宅に母と弟の居住スペースと作業場を組み込む工夫が必要。
  • そして、売却資金だけでは足りない

 

銀行の提案内容

インフラ設備工事費は2倍以上の見積もり。

1坪あたりを買い叩き金額で提示。

 

銀行や、その関連会社に工事業者の手配などを頼っていたら、工事費用の追加融資を受けていたことでしょう。

 

 

人生まで変わってしまう

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『お金だけではなく、人生まで変わってしまう。』

冒頭にお話したことは、ここなのです。

作業場と自宅を取り壊さない限り、土地は売れないのです。

 

新しい作業場を借りるにしても、賃料とリフォーム費用が必要です。

新しい住まいにも、賃料や購入費用が必要です。

 

作業場は音の問題もあるでしょう。

長年のご近所とのお付き合いや理解で仕事が続けられていることもありましょう。

だからこそ、作業場が近くに見付かるとも限らないのです。

 

今は職住一体です。

90代のお母様に何かあれば、直ぐに気付けます。

1分もしないで直ぐに駈け寄れます。

 

それが出来ない不安。

ここまで見込んでいた生活設計、気持ち、努力。

そのすべてが意味を成さなくなるのです。

 

お金は借りられれば、いいのか?

返済できれば、いいのか?

 

違います。

 

大事なことは、今の暮らしだけではありません!

将来の暮らしも見通した資金計画と実現なのです。

 

 

心で事情を汲み取る

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この事情を心から汲んでもらえる、信頼する一級建築士に頼みました。

結果としては、売却資金内で収める案が見付かりました。

 

その案に至るまでに、どれほど話し合いを重ね

どれほど頭をひねったことか…

 

概要だけをお伝えします。

  • 北側道路からの導線を確保して玄関の向きを変えない。
  • 増築せずに居住スペースと作業場を造る。
  • 階段の向きは南側道路に向ける。

(敷地内に収める)

  • 売却予定地は下図の黄色いエリアとする。

売却エリア

 

工事費が高くなる要素の徹底排除と快適さのバランスの追求です。

 

融資の機会を作ることが仕事の人間(銀行)と

資金計画の尊重が仕事の人間の違いです。

 

幸い、売却相手は見付かっていましたので、資金計画は見通しがつきました。

 

物件状況の改善計画が明確に出来たことで、買主様の融資承認も、お客様の新たな金融機関での借り換え承認も得ることができました。

 

と、ここで終われば良かったのですが…

 

糾弾に値する銀行からの追加条件

金融庁

銀行から最後まで嫌がらせがありました。

 

順調な返済をしている完済見込み不動産経営者は、当然に優良顧客です。

お客様にとって本当に価値のある次の融資提案のチャンスが待っているのですから。

今回のお客様は、まさに優良顧客です。

 

借り換えは融資担当者にとって

これほど恥ずかしいものはありません。

ましてや、優良顧客。

 

借り換え先が見付かり、銀行に借り換え手続きの為に連絡。

すると、驚くべき条件を2つも付けてきました。

 

一つ目。

決済の前日までに残債の一括返済

出来なければ、抵当権抹消書類の協力をしない、というのです。

これは非常識にも程がある内容です。

 

ご説明します。

借入先の変更も通常の不動産購入でも同じ話しです。

 

不動産における借り入れをする場合

  • 融資の実行(借入者の口座への送金)
  • 購入(所有権移転登記)
  • 抵当権設定登記

 

この3つの手続きは、同日が大原則です。

お金の持ち逃げ防止、お金の使い道と融資申請理由を一致させるためです。

 

また、以前の借り入れが残らないことが借り換えの条件です。

抵当権抹消手続き(完済したことの登記)も必要です。

 

今回の場合は、4つの手続きが同日でなければ金融機関としては安全な融資とは言えません。

 

私としては、例え金融機関が融資を認めても

何かあった時に私が責任を取れない進行を承認するつもりはありません。

 

条件を出してきた銀行でさえ応じない内容を条件にしてきているわけです。

 

自社が認めない進行を提案することの非常識さは、容易に想像できるものかと思います。

 

そして、2つ目。

返済を受ける側である銀行が司法書士の指定までしてきたのです。

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「うちの指定する司法書士じゃなきゃ認めない。」

 

ここまでのことをしてきた銀行が手配した司法書士を誰が信用しますか?

銀行は、司法書士に仕事を紹介した場合や火災保険、生命保険の契約を取り付けた場合に、紹介料を受領します。

 

司法書士の料金においては、注意が必要です。

こちらが手配した見積もりよりも10万円を軽く超える金額が上乗せされることも珍しくありません

 

 

金融機関ともあろう立場が、すべての金融機関の共通融資ルールを無視した条件を突き付ける非常識さ

 

でも、銀行との交渉に慣れていない並大抵の不動産会社ならば屈してしまうでしょう。

だから条件提示をしてくるのです。

 

銀行には利点が2つはあります。

借り換えは断念させられる。

追加融資額も出来る。

 

業績も保身も叶います。

 

お客様にはデメリットのみ。

今後も銀行からの申し出に不安を抱えることに。

 

借り換え断念の余波は大きいものです。

工事費です。

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工事費は、建築士と工務店のこれまでの付き合い。

建築士の交渉能力が鍵を握っています。

 

ここが違うだけで1000万円以上の差が出ることもある世界です。

 

もしも、銀行主導で他社へ相談していたら多額の差が出ていたかも知れません。

 

私は銀行への交渉経験が幾度となくあります。

交渉を重ね、条件の撤回を認めさせました。

 

条件を撤回させても、さすがにここまで受け入れ難い条件。

お客様の人生が狂ってしまうことを軽く考えられたことを、簡単に流してはいけないと思いました。

 

他の人にも同じことをするのではないか?

怒りと心配がありました。

 

私はお客様に

「金融庁へ申し立てに行きましょう。」

そう切り出しました。

 

しかし、お客様は

「事を荒立てなくてもいいよ。」と。

 

金融庁など関係各所への申し出により、条件撤回と再発防止は出来ます。

けれど、お客様の意図を汲むと

人ひとりの人生もまた狂わせることにもなる配慮が、そこにはありました。

 

「私自身は、杉浦さんが条件を撤回してくれたから、実質的な損はないじゃない。」

 

お客様のお気持ちが最も大事なことです。

私は、頭では分かっていても、かなり悩みました。

苦悩した末、糾弾することを辞めました。

 

銀行担当者は、知らないところでお客様にキャリアを救われていたのです。

当然その本人は知る由もありませんが。

 

 

ご相談から借り換えが終わるまで、ここでは語れない数々のご相談がありました。

自分たちの顛末を考えるとは、どういうことか?

 

ご相談ごとに、そんなやり取りをさせて頂きました。

その結果、このお客様からも嬉しい言葉を頂きました。

「杉浦さんの仕事は相続対策ではなく、人生相談ですね。ありがとうございます。」

 

 

この言葉が、私の心もまた救って頂きました。

 

いかがでしたでしょうか?

銀行からの申し出を鵜呑みにしてしまう怖さ。

 

銀行や担当者からしてみれば、関係会社には確認した当たり前の移住計画でしょう。

 

でもそれは、あなたの家族みんなの人生を狂わせる可能性もあるのです。

本当によく考えてから動いてください。

 

今回は担当者が自分で仕掛けて、最後には借り換えられてお客様を失ってしまう。

そんな当然の報いがありました。

 

ドラマのようなことが現実に起こる

それが不動産です。

 

追い込みや恐怖心など負の感情をあおるような提案には、まず冷静になる為にも疑ってみるのも手立ての一つです。

 

大事なことは、落ち着ける状態を作ることです。

 

一般の方には分かりづらい業界だからこそ、付け入る隙を狙って業績を上げようとする人間もまた生まれやすいのです。

 

少しでも理解できる基盤づくりに役立てられたら幸いです。


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大手不動産会社に断られても、この2つを押さえていれば大丈夫!相続対策専門の不動産会社が教える≪専門家を動かすコツ≫

相続とは命の限りをもって発生することですから予測しにくいですよね。

誰もがご家族には長く生きていてもらいたいものですし、寿命ではなく不慮の事故で突然の場合もあります。

 

「相続対策をしてから無駄が生じないようにギリギリになってから。」

そのように相続発生時期から逆算的に対策を行なうことは困難ですよね。

 

元気なうちに相続やお墓の事を切り出せば、ご本人を傷つけてしまい、以後、話し合いがまったく出来なくなるご家族もいらっしゃいます。

 

こうなると、本来、出来たはずのことが出来ずに何百万円…時には数千万円のお金が手元から離れていくしかない状況もあります。

 

プロにも手の出しようがない状況はあるのです。

しかし、その逆も然り。

 

今回は、ご依頼者夫婦の両家が一致団結したことによりプロが動かされ、ご実家を第三者に奪われることなく守る処置が出来た、そんな事例を挙げながら話しを進めたいと思います。

 

以下の2つのポイントを押さえ、上手にプロのポテンシャルを引き出しましょう。

 

【目次】

親族間取り引きの世間からの見られ方

専門家の水面下の仕事と業界のルール

 

新興宗教に取られてたまるか!!命を懸けて家を守った相続対策とは!?

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相続対策、手続きには複数の専門家が携わります。

専門家に上手に動いて頂くには、ご自身の要望や都合だけを押し付けても物事が最適な形に収まるとは限りません。

 

ですから、専門家から見た視点や業務の裏側を知ることは、非常に大切です。

 

人間誰しもが、自身を全く理解しようとはしない方よりも、少しでも理解をしようとしてくださる方に対してこそ、言われなくとも一歩先行く仕事ぶりで貢献しようと思いますよね。

 

お金だけ上乗せして、無理難題と自身の都合だけを突き付けるなんてNGですよね。

 

とてもタイトなスケジュールでの依頼でしたが、終わってみれば私が感謝している、下記の事例でご説明いたします。

 

【お客様背景】

ご依頼者 所有者のご長男 当時50代後半。

不動産所有者:奥様のお父さん(以下、お義父さん) 90代前半。

 

ご依頼者夫婦は関東に在住ではありましたが、ご相談物件は奥様のご両親が住まわれている東北のご実家。

奥様のお父さんのことは、ご依頼者から見た親類として以後『お義父さん』と表記していきます。

 

お義父さんが体調の急変により入院してしまったことが、お義父さんご本人が相続を本格的に考え始めたことがきっかけだったそうです。

 

お義父さんの頭を悩ませていたのが、奥様のお母さん(以後、お義母さんと表記します。)が新興宗教に入れ込んでしまっていたこと。

 

お義父さんの望みは、妻であるお義母さんに相続により不動産の名義が移行し、新興宗教に不動産を含む財産を持っていかれない処置をしておきたいとのことでした。

 

お義父さんは自分の子どもである娘さん夫婦(ご依頼者)の為に頑張ってきただけに、きちんと法的に引き継がれるようにしたかったのでしょう。

 

その想いをご依頼者である娘さんの旦那さんに伝え、実行に移したんだそうです。

 

そして、ご依頼者様が考えられた策が、こうでした。

 

ご依頼者のお父さん(以下、お父さんと表記します。)に購入して頂くこと。

そうすれば、親族ではあっても血の繋がりの無い家族の所有となった不動産は、いずれお義父さんの娘さん夫婦(自分たち夫婦)の財産として引き継がれることになる、と。

 

この案には、お義父さんも娘さんであるご依頼者の奥様も賛同してくださったそうです。

相続の方向性がまとまったところで、知人を介してご相談が私に寄せられました。

 

親族間取り引きの世間からの見られ方

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ここで問題となることが2つあります。

相続対策における基本的な知識でもありますので、ポイントとして押さえておいて頂きたいことです。

 

①三親等以内での不動産売買の場合、売買金額が実勢取引相場(見知らぬ他人同士で行なわれる通常の売買価格の相場)に則した金額設定で行なうこと。

節税や利益を得るために、身内での取り引き額を相場以下にされてしまっては市場の混乱を招きます。

その為、『バレないだろう』という考えで不誠実な取り引きを手助けすると、公的機関から指摘を受けた場合、取り引きそのものを無効とみなされてしまうことがあります。

 

取り引き無効となった際に、既にお義父さんにもしものことがあって相続が起こっていれば、結局、不動産の名義にお義母さんの持ち分が入ってしまい、ご実家がどうなってしまうか分かりません。

 

言い方が悪くなりますが、公的機関や新興宗教など第三者の横槍が入らない『隙の無い手続き』にすることが結局、もっとも安全で安価な手続きになります。

 

第三者からの抗議を受けて訴訟が起こり、裁判費用が掛かることもあるでしょう。

それにより時間を取られたり、精神的な疲労や苦痛を受けることはお金には換算できない『後遺症』が関わった人全員に残ることだってあります。

 

②融資における原則です。

金融機関を問わず、三親等以内での不動産売買における融資は承認が得られないものと認識しておいてください。

 

身内間での取り引きが正常であるか否かを判断することは金融機関であっても困難です。

身内間での取り引きを希望される方々は、保有資産が多い方であることは不動産取り引きを良く知らない一般の方々でも想像が難しくないと思います。

 

先にも申し上げた通り、融資という幇助(ほうじょ)を行なうことで市場の混乱を招くことは、お金の流れの秩序を守る立場にあるはずの金融機関の存在価値そのものに関わることです。

 

今回は、お父さんが現金で購入できる資金力があったので計画を実行に移すことができました。

 

専門家の水面下の仕事と業界のルール

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この事例をお話ししようと思ったのは、今振り返ってみても直感に救われたとしか言いようのないものです。

 

知人から相談の連絡を頂いたのは日曜日でした。

その時に「今度の土曜日に売買契約を行ないたいのですが、動けますか?」と。

 

正直、これには驚きを隠せませんでした。

スケジュールを聞き返してしまったほどでしたね。

 

不動産売買契約は、行ってその日に行なえるものではありません。

東北の物件ですから移動時間が必要です。

 

現地の視察を行い、重要事項説明書などの売買契約書類一式を作成する為の情報収集として市役所などへ赴き、建築関連の法規や規制の確認を行います。

調査だけで1日掛かり。

 

書類にまとめるのにも、ミスがそれこそ許されない案件ですから慎重に作成するゆえ半日は作業必要時間を見ておかなければなりません。

 

さらに、万全を期すためにも調査の段階から信頼を置ける司法書士にも同行させ物件や案件事情の共有を強固に出来るスケジュールで動かなければなりませんでした。

 

運に恵まれたのは、司法書士のスケジュールが火曜日で組めたことにもありました。

 

おかげで、土曜日での契約締結に目処がついたのです。

 

しかし、調査も終わり東京に戻ってきてから何か嫌な予感がありました。

急遽、ご依頼者に電話を掛け、木曜日での取り引きに変更できないものかを相談させて頂きました。

 

予感という無根拠なものに、よく耳を傾けてくださったと、本当に思います。

そして、関係者の全員がスケジュールを木曜日に合わせてくださったのです。

感謝しかありませんでした。

 

木曜日当日は、司法書士と一緒に11時に東北に現地入りしました。

現金での購入、1日も無駄に出来ない状況です。

売買契約と売買代金全額の一括支払い、法務局に所有権移転登記、これらをすべて1日で完了させなければなりません。

 

不動産売買は、代金の支払いと所有権移転登記手続きは同日に行なうのがルールと言っても過言ではない≪当たり前≫です。

 

行政が指定する法規(ルール)ではないところが厄介ではあります。

 

不動産詐欺の見極めの一つでもあるお話しですが、言い訳を沢山つけてお金を払ったのにその日のうちに、ご自身に所有権移転登記手続きがなされない流れになっていることです。

 

このように、それぞれの業界には暗黙のルール、行政が敷いているルールがあります。

それらを知る時間、専門家を理解する時間や機会がなければ損を招くこともあることは想像できるかと思います。

 

話しを戻しましょう。

 

まずは、売主であるお義父さんに売買契約書類一式への署名、捺印を頂きました。

担当医にも同席頂いてお義父さんの意志能力(判断能力)の有無の確認をして頂いた中で契約を行ないました。

 

この判断能力の有無の確認は、利害関係の無い第三者の立会いを設けることで、後々、売買契約の不当性を訴えるような横槍が入らないようにするための配慮です。

 

不動産売買契約で基本であり、もっとも大事な心構えは『裁判になっても対抗できるほどの調査と状況的根拠、証拠を整えて取引に臨むこと』だと思っています。

 

目先の利益に囚われた時、取り引きには必ずと言っていいほど、ほころびが生じるものです。

手堅く行なうほど、取り引きというものは無用な利益は生まれないものではないですか。

 

どの業界でも同じことなんですよね。

 

契約締結が終わるなり、すぐさま東京に戻り午後2時には買主であるお父さんの元へ。

お父さんからも無事に契約書類一式への署名、捺印をして頂きました。

 

東北にも東京にも同行をして頂いた司法書士は、事務所に戻り迅速にオンラインにて法務局に所有権移転登記手続きを申請してくださいました。

 

慌ただしくも1日で手続きを完了し、空けた金曜日。

朝9時、ご依頼者からお電話が。

「昨夜、お義父さんが亡くなりました…」と。

 

きっと、私の予感…虫の報せはお義父さんからのものだったんでしょう。

待っていてくれたんでしょうね。

 

私の直感からの申し出ながら、可能な限り迅速な行動に司法書士を始め、周りの方が理解を示し協力してくれたからこそ、お義父さんの想いは望み通りに相続対策が出来ました。

 

改めて思います。

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相続は不動産会社だけでは足りません。

専門家が一人で行なっても成し得ません。

独走しても、ままならず。

遠慮をしても歩みが鈍るだけ。

 

この事例は、全員の理解と行動がもたらした忘れられないギリギリの案件です。

 

その後、ご依頼者様は息子さん二人、それぞれの一人暮らしのお部屋探しの際には頼ってくださいました。

 

さらにご依頼者様が事業拡大に伴う事務所移転の際のテナント探しや、新規事業の事務所探しの際にも頼ってくださる関係になりました。

 

弊社では単純に賃貸の物件探しのお願いはお断りしています。

この点は、あしからず…

 

その他にも、私の人脈の広さや推薦する専門家の質の高さを信用してくださり、困りごとがあれば、その道の専門家の紹介を求めてご連絡くださいます。

 

プライベートでの交流まで生まれたのは、予想外の嬉しさです。

毎年1回は海外旅行に誘われ、奥様公認の元、気の置けない男二人旅までしています。

壁を一緒に乗り越えた後というのは思いがけない信頼関係が生まれることは、専門家とご依頼者の間柄でも同じですね。

 

 

いかがでしょうか?

プロのポテンシャルを引き出す為のポイント。

親族間取り引きの世間からの見られ方

専門家の業務必要時間の把握

 

相続対策、相続手続きを仕事として携わるあらゆる方々が口にしていますね。

「元気なうちに。」

「いつかではなく確実に出来る時に。」

「少しでも早く。」

 

聞き慣れてしまっているでしょうからこそ、きっかけや思い直しになればと思います。

 

今回は、ご依頼者夫婦の両家が、ほんの少しの知識を活かし、全員がまとまって迅速な行動を起こしたからこそ成し得たお話しです

 

熱意や真剣みは、やはり人を動かすのだと身をもって改めて教えられました。

 

相続対策は、熱意と関係者のまとまりが肝心です。

財産を渡す方も受け取る方も、意思が伝え合えるうちに、じっくりと気持ちを伝え合ってください。

そして、大変なこともたくさんあるとは思いますが、どうか伝え合える喜びもまた感じてくださったら嬉しいです。


相続税を安くしたいのならこの順番を守ってください

相続税対策で大切なのは~その2.優先順位~

相続税対策をしようとして、節税を一番の優先事項でやってしまっているケースがあります。
その結果、どうなるか?
争族になり、兄弟姉妹間で骨肉の争いになり、相続税すら払えない状況になってしまいます。
皆さん、学校の道徳の時間で「兄弟間の関係」ってなんて教えられますか?

“平等”ですよね!決して、“兄を優先!”なんて教えられませんよね?

昔は長子もしくは、優秀な男子一人が財産を相続するのが当たり前でした。
一族郎党が生き残るための知恵だったのですね!!
今は時代が違いますから、当然に兄弟姉妹間で財産分与をみんなが主張してきます。
よっぽど、被相続人が準備をしておかないと、争いごとになるのは、当たり前の時代です。
全国的に見て、相続税が掛かる人の割合は約8%と言われていますが、争族になる確率は14%と言われています。
特に相続財産が5000万円以下の相続において、争う確率が高くなっているというデータが残っています。

相続税対策での最優先事項は家族円満

現代において相続税対策をする上で最も高い優先順位のものは、「家族円満のためにどうのように相続財産を分割するか!?」を決めることです。
事前に家族間の関係を考慮しながら、遺言書を残しておくことも大切なアプローチになります。

相続税対策の2番目の優先事項は納税資金の準備

2番目に相続税対策にとって重要な優先順位はなんでしょうか?節税でしょうか?
まだ、節税ではないのですね!!
2番目は納税資金の準備です。
日本人の資産家に多いパターンは、不動産はもっているが、流動性の高い現金等が少ないというものです。
いざ、相続になり、換金性の低い不動産ばかりだと、遺産分割協議書でもめたり、土地測量図作成時の隣地境界線でトラブルがあったりすると10か月以内の相続税申告時までに納税ができずに、減税の特例が使えなくなったり、高い延滞税を支払わなくならなくなったりして、非常に損失が大きくなります。

これらを考慮すると事前に相続税の納税資金を準備しておくことが重要なわけがお分かり頂けると思います。

相続税対策の3番目が節税

3番目の相続対策の優先順位でようやく、節税が来るのです。
節税も相続税だけでなく、消費税、固定資産税、所得税、不動産取得税なども考慮してスキームを組むことが重要です。
また、節税だからといって、資産価値の低い不動産を借金をして購入するのは、後日、しっぺ返しが来るので、その辺もプロのアドバイスを聞きながら、慎重に進める必要があります。

大前提として、0番目の相続税対策があります。
現状分析です。

いったい、今、どれだけの財産があり、相続税評価額はいくらで、借金はいくらあり、相続人は何人いて、相続税はどれくらいかかるのか?

実は、ここをきっちり調査しないと、相続税対策はできません。
当たり前のことですが、ここを押さえずに闇雲に相続税対策をしている方も見受けます。
もう一度、相続税対策の優先順位復習ですが、

  • 0番目 現状分析
  • 1番目 「家族円満のためにどうのように相続財産を分割するか!?」
  • 2番目 納税資金の準備
  • 3番目 節税

是非、この順番を考えながら、相続税対策を練って下さい。